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食欲はそこそこあるけど肝心の味が全くしないだなんて、自分でも原因はなんとなく分かってはいるが打ち明けようとは思えない。藤井さんがせっかく卵粥を作ってくれたのに、今打ち明けてしまえば作った時間が無駄になってしまう。
「あ、無理せんでええから」
そう言って一口分スプーンですくうと、私の口元に持ってくる。ゆっくりと口を開け、温かい卵粥が口の中へと滑り込んできた。
「どう？」
はるか遠く卵とご飯がマッチした甘みが見える気がして、でも掴めない。それよりもいつもの如く鉄のような味が勝ってしまって、飲み込むのに苦労した。絶対美味しいのに、藤井さんが私のために作ってくれたものなのに、味わえないのが悔しい。
「……美味いで」
「ほんまに？」
「…ほんま」
私の言葉を聞いた藤井さんはガッツポーズをする。
「まだ食べられそう？」
心配そうに私を見つめる藤井さんに、どうしようもなく胸が痛んで目を逸らす。いつも鉄の味がしては食欲が一気に失せてしまうのだ。その繰り返しで、毎日常にお腹がすいているような状態。
「めっちゃ食べたいんやけど、食べられんかも」
「そっか、無理せんといてな」
最後まで私を気遣ってくれて、優しい表情をしていた藤井さんがリビングの方へ行ってしまった。今日一日いつでも食べたい時に食べられるようにとラップをしてくれるみたいだ。
少しして藤井さんが戻ってきて、近くにあったスツールに腰掛けた。
「マネージャーさんの看病って料理以外に何してるん？」
「えーと…よく一緒に話したりとかかな、体調悪い時って人一倍一人でいたいんやけど、人一倍人肌が恋しいから」
「あーー……じゃあ俺もキーコと話す。あれや、なんか相談とかない？」
相談といわれると、メンバーになったばかりの頃を思い出す。神山さんとゲームした日に悩みを聞かれ、つい悩み相談をしてしまったこと。もう絶対に悩み相談なんかしないなんて思っていたけれど、いざ本人に聞かれるととことん弱い。
「自分に、自信がなくて……どうしたらええんかなって」
「そっか…」
深刻な顔をした藤井さんが俯いた。
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るな(プロフ) - もちろんです！これからも応援してます！ (2021年4月28日 23時) (
レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - るなさん» ありがとうございます〜！最後までお付き合いいただけると嬉しいです…！！ (2021年4月28日 21時) (レス) id: 54952e91f1 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ものすごくストーリーが好きです！何度も読み返してます！毎日更新楽しみにしてます！ (2021年4月28日 18時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＿＿ | 作成日時：2021年4月10日 18時
