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「皆さん、ごめんなさい。私ほんとはキーコじゃないんです」
見向きもせずに背を向け去っていく七人の一人が振り返った。
「俺らのこと騙してたん」
「あ、違…そんな意図は全くないんです…」
「意図はないとか言っとるけど、客観的に見て騙してるってことは分かってたんやろ」
ずっと心のどこかでは感じてた。今の私は言い換えればなりすまし行為で、ファンの方やスタッフの方、そして本人たちまで騙してるということになる。でも打ち明ける勇気なんてなくて、メンバーの方の優しさに甘えてしまっていたのかもしれない。
「俺らは七人が一番やな」
笑い合う七人の背中をただ見つめることしかできなくて、でもこれが私の望んでいた形なのだと伸ばしかけた手を下ろした。
「お前なんか、必要ないもん」
横目で私を見た一人がそう吐き捨てる。明るい未来へ歩み出す七人は、初めて彼らを見たときのように楽しげな様子だった。
「 ──っ！」
目が覚めるとまだ夜は明けておらず、マネージャーの方がタオルを絞っているところだった。息がしづらくて、冷や汗で背中がぐっしょりと濡れていた。
「Aさん、ゆっくりと深呼吸しましょう」
「は、はい…」
手を優しく握ってくれた彼女が頼もしくて、しっかりと息を吸う。異常に加速した鼓動が次第に落ち着いていくのを感じた。
「ありがとうございます…」
「いえ」
寝かせてくれたマネージャーの方が額のタオルを取り換えてくれる。
「迷惑かけてしまってすみません…」
「いえ、困ったときはお互い様ですので」
マネージャーの方が微かに笑った気がして、ひどく心が痛んだ。目の前にいる彼女を私が騙していると考えると、どうしようもない気持ちに駆られる。騙すのを止めるなんて不可能なのだから、今はただ甘えることしかできない。
「すみません、時間なのでそろそろ帰りますね」
腕時計を確認したマネージャーの方がそう告げた。どうやら、晩御飯の準備があるらしい。
「分かりました、今日はありがとうございました」
「…いえ」
一礼をしたマネージャーの方がそそくさと部屋を出て行った。
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るな(プロフ) - もちろんです！これからも応援してます！ (2021年4月28日 23時) (
レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - るなさん» ありがとうございます〜！最後までお付き合いいただけると嬉しいです…！！ (2021年4月28日 21時) (レス) id: 54952e91f1 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ものすごくストーリーが好きです！何度も読み返してます！毎日更新楽しみにしてます！ (2021年4月28日 18時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＿＿ | 作成日時：2021年4月10日 18時
