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それから私は、ジャニーズWESTのファンと名乗っても恥ずかしくないように、レンタル屋でCDを借りたり、ラジオを聴いたり、雑誌や出演番組をチェックしたり、できることは全部やった。公式写真も、私がジャニーズWESTに出会うきっかけとなった『証拠』のCDも買った。ジャニーズWESTのいない生活は考えられないくらいに、私の毎日は彼らで溢れかえっていた。

何よりも、七人の揺るがぬ絆が好きだった。相手の非を責めたり文句を言ったりせず、いい方向に褒める、決して相手を貶すことなどしない彼らの優しいところが素敵だと思う。
それに、何があっても七人という思いが常にひしひしと感じられる気がする。神山さん作詞の曲には、ビックリマークが七つなことがよくあるし、重岡さんはMVや音楽番組でよく七と指で示している。そんな強い絆で結ばれた七人が、いつの間にか大好きになっていた。

しかし、たまに考えてしまうことがある。──私がもしも、ジャニーズWESTのメンバーだったら。七人が大事にしている7を変えようとしているのではなく、ただ単純にあの楽しく笑いに満ち溢れた空間にいたらどれだけ幸せだろうと時々想像してしまう。そんなの、メンバーだったらではなく会って少し話ができたら程度でいいだろうと言われればそれまでなのだが、あの七人とくだらないことで笑い合ってみたいと思ってしまうのだ。勿論、あの歌もラジオも雑誌もその取材もレギュラー番組も、七人でしか成り立たないし、私が干渉したいだなんて少しも思っていない。こんなのただの妄想で、絶対実現したい夢でもなんでもない。

「私がジャニーズWESTのメンバーだったら──」

ある日そうこぼしたとき、「私がその願い叶えてやろう」そんな声が聞こえた。大会場にいるような反響した声は、低く妙に神々しさを感じさせるものだった。不審に思い周りを見渡すが、辺りには誰もいなく気配さえしない。

「叶えてほしいことじゃ、ありません」

一時の気休め程度のことなのに、真に受けてほしいわけではない。

「次に目が覚めたとき、その願いは叶っているだろう」

ただ薄れゆく意識のなか、私は静かに横たわったのだった。



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るな(プロフ) - もちろんです!これからも応援してます! (2021年4月28日 23時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - るなさん» ありがとうございます〜!最後までお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2021年4月28日 21時) (レス) id: 54952e91f1 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ものすごくストーリーが好きです!何度も読み返してます!毎日更新楽しみにしてます! (2021年4月28日 18時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:__ | 作成日時:2021年4月10日 18時

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