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「ただいま」
つい、いつものクセで言ってしまう。
蒸し暑い、ヌナがいない部屋。
しばらく実家に帰ると言って、着替えとか、少しの荷物だけ持って出たヌナ。
いつになったら戻ってくるのか、どのくらいの時間が必要なのか。
わからないけれど、とりあえず、ヌナが大切に育てている植物だけは枯らさないように、お水をあげるのがおれの日課になった。
梅雨はあけ、季節はすっかり夏。
庭に出たら、夜の空には、欠けはじめの月がぼんやりと浮かんでいた。
ヌナもいま、同じ月を見ているのだろうか。
************
「ぷはー！」
やはり、湯上がりの牛乳は最高である。
もちろん瓶の牛乳。もちろん仁王立ち、腰に手を当てて。
すっかり行きつけになった銭湯は、私の荒んだ心を救ってくれた。
まさか生活圏内に、こんな素晴らしい銭湯があったなんて。
長年この街に住んでいるけれど、まだまだ知らないことがあるんだな。
ちょっと離れたいってスニョンに言ったとき。
少しだけ、止めてくれるんじゃないかって淡い期待のようなものを抱いていた。
けれど、スニョンは「ヌナがそうしたいなら、わかった」と言った。
もうだめかもしれないなって、怖くなった。
けれど、若いスニョンを繋ぎ止めておくのは、忍びない気持ちさえ芽生えていたから、これでよかったのかもしれない。
そんな傷心で家を出たのだけど
「ありがとうございました〜」
「気をつけるのよ〜」
なんて、番台に座るおばあちゃんとのやりとりにすっかり癒やされ…
今では、この悠々自適シングルライフを謳歌している。
お風呂がないという唯一の不便も、この銭湯が解消してくれたし。
銭湯からの帰り道、ふと空を見上げたら、欠け始めの月が浮かんでいた。
スニョンも今ごろ、どこかで同じを見ているのだろうか。
家だったらいいな。
なんて思いつつ、家路、もといお店に着く。
スニョンには、実家に帰ると嘘をついた。
けれど、私に帰る実家はない。
店のソファが、今の私の寝床。
こんな生活、スニョンに知られたくない。
だから嘘をついた。
自分の唯一の居場所。
さぁ、これからどうしようかな…
考えを巡らせているうち、寝落ちしてしまう。
そんな日常。
＊ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。お話は第3弾に続きます。
ノロノロ更新ですが、また覗いていただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
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nayuta(プロフ) - Nyanさん» Nyanさん、コメントありがとうございます！長期間開いてしまい申し訳ありません！またお楽しみいただけるよう、更新頑張ります！今後とも、どうぞよろしくお願いします。 (2021年3月16日 20時) (
レス) id: eddbfa096d (このIDを非表示/違反報告)
Nyan(プロフ) - 初めまして。nayutaさんが書かれる小説とっても面白くて全部見ちゃいました！本当に面白いです！更新また楽しみにしていますね。頑張ってください！ (2021年2月7日 1時) (レス) id: 38c9553a5a (このIDを非表示/違反報告)
nayuta(プロフ) - Ayaさん» Ayaさん、コメントありがとうございます！更新がずっと滞っている中、楽しみにしていただいて、本当にありがとうございます！今後もぼちぼち更新になりますが、よかったら覗いてやってください！ (2021年1月18日 0時) (レス) id: eddbfa096d (このIDを非表示/違反報告)
Aya - はじめまして。すにょんとヌナの行方が気になって、こちらの更新ずっと楽しみに待っていました！Nayutaさんの書かれるスニョンがとても可愛く大好きです^ ^これからも楽しみにしています！ (2021年1月17日 12時) (レス) id: c5f8876cc2 (このIDを非表示/違反報告)
nayuta(プロフ) - 宵さん» 宵さん、はじめまして！コメントありがとうございます！癒しになっているなんて嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう頑張ります！よろしくお願いします！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: e146c0ae0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nayuta | 作成日時：2018年9月10日 22時
