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真夜中
ふいに目が覚めて、寝返りをうってみても、そこにぬくもりはない。
一人では広すぎるベッドを持て余す日が、続いている。
二度寝をしようと目をつむってみても、どうにも寝付けなくて、諦めて、起き上がる。
まだまだ寒い3月。
ホッカイロ代わりのスニョンがいないと、この部屋は極寒だ。
「もう4時じゃん…」
ごっついセーターを羽織り、ダイニングでコーヒーをすすりながら、つい玄関を睨んでしまう。
遅いな…
スニョンは、なぜか夜のバイトを始めてしまった。
***
「ヌナ、俺、先輩に誘われてさ、バーのお手伝いすることになった」
2月のある日、夕食を作る私の隣にへばりついたスニョンからいきなりの事後報告。
「え、なんで?」
「え…だめ?」
「だめ、じゃないけど…スニョン、ダンサーとしてちゃんとやってるじゃん。
なのになんで?」
「…先輩がね、急にバイトの子が辞めちゃって、困ってたから」
「スニョン、ほんとお人好しだよね」
「ヌナだって、きっとやるでしょ。こういう時、ほっとけない人じゃん」
「…まぁ。
スニョンがしんどくなかったら、いいけど」
「ほんと!?」
「無理は、しないでね」
「うん。平気。まだまだ若いから」
「あぁ?喧嘩売ってんのか?」
「ごめんて!」
なんて笑って抱きついてくるスニョンに結局、ほだされてしまった。
***
けど実際、週に3日も4日も家を空けられると、ちょっと寂しい。
ただの同居人だったころは、夜、バイトに出て行くスニョンを見送るのなんて、なんでもなかったのに。
ホッカイロスニョンがいないから寝つきも悪くて、こうやって夜中、目が醒めるのが、なんか負けている気がして嫌で…
それならいっそのこと、飲みに行っちゃおうかなと思い立った。
だって、スニョンは毎日のようにうちの店に通ってるのに、なんかフェアじゃない。
私だって、スニョンのバーテン姿、見たいし。
それに、スニョンがなぜか「飲みに来て」と言わないのは、なんでだろう。
来てほしくない理由でもあるのか?
まさか、ステキ女子がいるのか?
こんな年上の彼女なんて、見られるの嫌なのかな。
なんてネガティブに陥り、行かないようにと思っていたけど
やっぱり気になる。
ちょっとの好奇心と、不安を解消したい気持ち。
繁華街にある、スニョンの働くバー。
その扉を開いてしまった。
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nayuta(プロフ) - Nyanさん» Nyanさん、コメントありがとうございます!長期間開いてしまい申し訳ありません!またお楽しみいただけるよう、更新頑張ります!今後とも、どうぞよろしくお願いします。 (2021年3月16日 20時) (レス) id: eddbfa096d (このIDを非表示/違反報告)
Nyan(プロフ) - 初めまして。nayutaさんが書かれる小説とっても面白くて全部見ちゃいました!本当に面白いです!更新また楽しみにしていますね。頑張ってください! (2021年2月7日 1時) (レス) id: 38c9553a5a (このIDを非表示/違反報告)
nayuta(プロフ) - Ayaさん» Ayaさん、コメントありがとうございます!更新がずっと滞っている中、楽しみにしていただいて、本当にありがとうございます!今後もぼちぼち更新になりますが、よかったら覗いてやってください! (2021年1月18日 0時) (レス) id: eddbfa096d (このIDを非表示/違反報告)
Aya - はじめまして。すにょんとヌナの行方が気になって、こちらの更新ずっと楽しみに待っていました!Nayutaさんの書かれるスニョンがとても可愛く大好きです^ ^これからも楽しみにしています! (2021年1月17日 12時) (レス) id: c5f8876cc2 (このIDを非表示/違反報告)
nayuta(プロフ) - 宵さん» 宵さん、はじめまして!コメントありがとうございます!癒しになっているなんて嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!よろしくお願いします! (2020年5月18日 1時) (レス) id: e146c0ae0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nayuta | 作成日時:2018年9月10日 22時