小動物系彼氏と暮らしています。

#17 ページ17

急いでドアを開けたら、脱ぎ散らかした靴。

いつも反対向きに揃えるよう口酸っぱく言ってるのに…
これは相当、しんどいやつだな。



「スニョン？」

灯りのついたままの廊下を抜け、扉を開ければ、真っ暗なリビング。

寒い…エアコンもつけないで、この子は…


ソファで眠るスニョンは、ダウンのフードにすっぽり包まれ、マフラーも巻いたまま。


マフラーから申し訳程度にのぞかせた顔が赤い。




頬に手を寄せたら、熱い。
おでこも熱い。

確かに、39度、あるかも。


「冗談、言ってる場合かね…」

こんな苦しそうに、ほっぺた真っ赤にして。





「ん…ヌナ？」


「スニョン、起きた？」


「…遅い」


「ごめんね」

だいぶ、色が抜けてしまった栗色の髪の毛に、そっと指を通し、ゆっくりと撫でる。

「今日、いるってゆった」

「ごめんごめん」

「体、痛い」

「あ、熱…ちょっと体温計持ってくる」

立ち上がろうとしたら、上着の袖を掴まれる。


「ちょっとすにょ」


「……」


「熱、測るから」


「……」


これはこれは、甘ったれ発動してるな。


諦めて、ソファの下に座り込めば、満足そうな顔。


横たわるスニョンのおでこに自分のを合わせたら、やっぱり熱い。


「やっぱ、熱高いね」


ん？

「あ、照れてんの？」


「っ、違うもん」


…ちょろいな。




「じゃあ、冷えピタ貼ろうか」


「もうちょっと頭撫でて」


「おい、調子のんな」


ほっぺをペチンと叩いてやる。


「あー、病人に暴力ひどいー」


「ったく」


「おかゆ、作ってあげるから」


「卵入れて」


「はいはい」





なんだかんだ、可愛いスニョンはようやく大人しくなり、私がキッチンに立っている間、再びソファでスヤスヤと寝息を立て始めた。






****



「スニョンくん、ふっかーつ！」


翌朝、すっかり良くなったスニョンは、早朝から騒がしい。


すでにベッドから起き上がってるスニョンに見下ろされている状態の私は、全然起きられる気がしない。



「さ、すが若者は治りが早いね」


「うん！ヌナの看病の、お・か・げ」


「はいはい、ちょっとすにょ、寒いから出るなら出て」


「え、ヌナ寒いの？」


「寒いよ…」


「もしかして、風邪、うつっちゃった？」


「え…」


そういえば、なんか、だるいような…


「かも…」


「じゃあ、今日は俺が看病してあげる！」


なぜか張り切るスニョンに、悪い予感しかしないのである。

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