#45 ページ45
俺は、とうとう幻覚が見えるようになってしまったのだろうか。
部屋の前に、うずくまってる、Aヌナが見えるんだが。
心身ともに疲れすぎて、自分に都合のいい場面を、思い浮かべちゃってるんだとしたら、そうとうやばい状態だ。
だって、ここにヌナが来るはずない。
けど、たしかに見えるそれに、だんだん胸が騒ぎだす。
え、ほんとに？うそでしょ？
「…ヌナ？」
顔を上げたヌナに見上げられて、息が止まりそうになった。
「やっぱり…」
「ヌナ、なんで」
「それ、こっちのセリフだから」
立ち上がったヌナの手を掴んだら、驚くほど冷たい。
「ヌナ、いつから居たの？早く入って」
「バカ…
言われなくても入るよ…
だってここ、私の家だもん」
「…うん」
手を引いて、中に促せば、素直に入ってくれた。
「何も、ないじゃん」
「だって、俺、荷物ほとんど持ってないもん。
ヌナ、知ってるでしょ」
「…なんで、ここに住んでるの？」
「だって、ヌナが出てったから」
「……」
「俺、この家、気に入ってたから、ヌナがいないならラッキーって感じ？」
「…でも、バイトとか、大変なんでしょ
そんな、無理して一人暮らし、しなくても」
「…無理してないし」
「……」
「ヌナ、怒ってる？」
「……」
「でもさ、別にヌナにめーわくかけてるわけじゃないし」
「…かけてるっつーの」
「へ…」
どんな間抜けな顔をしていたのか、ヌナは俺と目があうと、なんか、諦めたような笑いをこぼして
「雪だるま、作ろっか」
と言った。
どうしようもなく、あの家が恋しくなったあの日、気がつけば、俺はヌナのアパートの前に居て、空室になっていることに愕然とした。
決定打を浴びせられて、いよいよ本当に、区切りをつけなきゃいけない、そう思うのに
ひとしきり落ち込んだ翌日には、この部屋に住むことを決意していた。
「お金もないのに、どうやって住むんだ」とウォヌには散々反対されたけど、バイトを増やせばなんとかなるし、意外と一人も快適かもな、なんて見切り発車で始めた一人暮らし。
けれど、逆効果だった。
ヌナの気配も、匂いも、何もかも消えてしまったあの部屋に一人でいると、余計に寂しくなった。
だから、焦がれる気持ちが重すぎて、ついに幻覚が見えてしまったのかと、本気で思ったんだ。
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nayuta(プロフ) - ハフィントンポストさん» ハフィントンポストさん、コメントありがとうございます！お返事遅れてしまい、すみません！！ありがたいです！可愛いスニョン、また続編ものぞいていただけたら嬉しいです。 (2019年5月11日 6時) (
レス) id: 812cdb4791 (このIDを非表示/違反報告)
ハフィントンポスト(プロフ) - なんか、読み始めたら段々と吸い込まれて全部読んじゃいました、すにょん可愛いですね！ww！ (2019年1月25日 22時) (レス) id: b852baaf97 (このIDを非表示/違反報告)
nayuta(プロフ) - にとまる。さん» にとさんーー！わたくしもおぬよん好きなので、ついつい登場させちゃいます。おぬよんにときめいてくださるなんて、うれしいですー！ (2018年9月1日 1時) (レス) id: 812cdb4791 (このIDを非表示/違反報告)
にとまる。 - nayutaさん» すにょんんん(( でもにとてきにはたまにでてくるおぬよんにときめきます。好き。 (2018年8月29日 22時) (レス) id: 307b4f2a6a (このIDを非表示/違反報告)
nayuta(プロフ) - にとまる。さん» にとまるさん、ありがとうございます！どちらに傾くのか、、、更新頑張ります！ (2018年8月22日 12時) (レス) id: 71317fae55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nayuta | 作成日時：2018年7月18日 14時
