小動物系男子と暮らしています。

#21 ページ21

母さん、事件です。

それは、ようやく春の兆しが見え始めた、3月のある日。

ヌナが部屋から出てこない。
今日は二人の休みが被った日。いつもなら、インドアなヌナはリビングでごろごろ、DVD観たり昼寝したりしてるのに。

そして、ヌナの部屋からなんか楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
さては電話の相手、男だな。
あ、もしかして、同期のミンソクって人かな。
なんて、悠長に言ってる場合じゃない。
男ができたら、俺、捨てられちゃうじゃん。行くとこなくなるじゃん。
ヌナが来ないなら、ソファ占領してゴロゴロしてやる。


…どうやら、眠ってしまったらしい
「スニョン」とヌナの声。うっすら目を開けたら、やっぱりどこか嬉しそうな顔をしたヌナのアップ。
「ヌナ、彼氏できたの？」
「へ…なんで？」
「だってさっきの電話、男でしょ」
「えっ、聞いてたの？」
「聞こえたの。ヌナ、楽しそうに笑ってさー。なんかいつもと声、違うし」
「違うから！ミンソクだから」
「やっぱり」
「どういうこと？」
「だって前から仲良さげだったじゃん、好きになっちゃったんじゃないの？」
「…んなわけないじゃん」
図星だな…

そんな顔して、ヌナ、なんか恋する乙女みたい、なんかやだ。
だってヌナに彼氏ができたら、俺の家、なくなっちゃうから。

#22→←#20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す