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(side You)
「ありがとうございます」
コーヒー豆の入った袋を渡し、少し控えめに手を振った。
スニョンくんも「またね」と笑って手を振り返してくれて。
彼が角を曲がるまで、その背中を見つめていたら、曲がる瞬間、またこっちに視線を向けてくれて…少し驚いたけれど、もう一度手を振った。
ちゃんと、普通に振る舞えていたかな。手、震えていたの、バレなかったかな。
「おい、もう店、締めるぞ」
「あ、すみません」
ジュニョンさんに促され、カウンターに戻った。
***
「お前、やっぱ好きなんだな」
「え…何がですか?」
ジュニョンさんに送ってもらうようになってから、こうして、たまに屋台に寄ることがあった。
ビールで乾杯をして、話の内容は、ほとんどが私の相談事だけれど。
「おい、散々泣きついといて…」
「…すみません」
「ま、いいやつそうだしな、あの子」
「…自分でも、分からないんです。なんで、好きなんだろう」
「感情だからな。簡単にオンとかオフとか、できるもんでもないだろ」
「…そう、ですけど」
「で、なんで好きなの?」
「えっ、なんでそんなこと…恥ずかしいじゃないですか」
「単純に、興味」
本当にこの人は…。だけど、なぜかジュニョンさんの前だと、自分の胸の中のこと、自然と出てしまう。
「……なんか、踊ったり、歌ってる時はすごくかっこいいのに、会って話している時は、普通の男の子って感じで…
なんか、みんなを笑わせてるところとか、ふざけてるところとか…
かわいらしくて…」
思い出すと、知らず知らず、口角が上がってしまう。
彼の笑った顔とか、真剣な眼差しとか、いろんな表情や声が、私の体の大部分を占めているような気がして、忘れなければいけないのに、気持ちは膨らむばかり。
まだ、始まってもいないのに。
「お前、重症だな」
「え…」
「恋の病」
「……」
「そこで赤くなるなよ」
「…もう、からかわないでください」
「お前も、かわいいよ」
「…またそんな、いじりがいがあるからって、ふざけすぎですよ」
「なんでだよ。俺は本心で言ったの」
「絶対嘘だ」
「A…」
ざわざわと騒がしい屋台の片隅で、なんでこの人は、こんな雰囲気出してくるんだ…
「ちょっと、酔ってるんですか?」
「酔ってないよ」
「じゃあ」
「俺と、付き合ってよ」
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nayuta(プロフ) - みく@企画垢さん» みくさん、ご指摘ありがとうございます!大変失礼をいたしました。修正しました。まだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いします。 (2017年8月26日 0時) (レス) id: 7899cbdaa6 (このIDを非表示/違反報告)
みく@企画垢(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいね (2017年8月25日 19時) (レス) id: e89ce37d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nayuta | 作成日時:2017年8月18日 19時