プロローグ ページ1
「シェリーさん、スタンバイお願いします。」
『あ、はい!今行きます!』
ギリギリまで読んでいた台本をテーブルに置くと
煌びやかに照明の照らされたセットへと向かう。
*
「どうして…?貴女がそんなことするの…?」
『どうして??理由なんて必要?……嫌いだから。アンタみたいな純粋なフリして、泣けばいいって思ってる女、大っ嫌いなのよ!!』
バチン
…
……
カットの声がかかり急いで相手役の女優さんに
駆け寄るとさすがの人気女優。
「いい平手打ちだったよ〜超性格悪そう!」
ケラケラと笑って私にグーサインをしてきた。
『すみません、、私が感情込めすぎちゃって…』
「おいおい〜不仲なのか?ってくらい憎しみの籠った演技!さすが流行りの悪女女優!!」
後ろから監督が私たちに声を掛けてきた。
*
私は23歳の女優だ。新人でもなんでもない。
もう事務所に所属して早5年。
ヒット作もなく、学生をやれる年齢も越えて
最近ドラマの仕事がめっきり減っていた。
そんな私に舞い込んできた仕事がこの新ドラマ。
21時の枠に主演は人気の若手の清純派女優。
ウルウルと泣けるような可哀想な状況になってしまう主人公の恋人から社会的地位まで全てを奪う、
最低最悪の同僚役。そう、それが私。
血も涙もない私の性格の悪さがたちまち大ヒット。
巷では悪女ブームなんて言って私のメイク法や
ファッションスタイルが取り上げられているらしい。
『監督〜。私このドラマで知名度が上がったのはいいんですけど、この前カフェ行ったら知らない人に暴言までされちゃいましたよ〜。』
意外と話すとラフで飾り気のない私のキャラが
ギャップだと最近はバラエティにも少し出してもらう機会も増えた。
監督「お前はカメラが回った瞬間目尻がグイーッて吊るのは何なんだよ。選んだ俺が言うのも何だけど、性格悪すぎだぞ。お前。」
『あはは!もう彼氏も何も出来なくなったら監督と脚本家さん本当恨みますよ〜〜?』
私は荷物を整理しながら明るく笑う。
マネ「シェリー、この後事務所顔出すぞ。準備できたら表の車乗ってくれ。。監督、お疲れ様でした。明日
も宜しくお願いします。」
『あ、うん、ハヨンオッパ。今もうすぐ行くね。監督、お疲れ様でした!スタッフさんも夜遅くまでお疲れ様です!』
パタパタと小走りでオッパの後をついて行き、
目の前に用意されたバンに乗り込み
見慣れたソウルの夜景を見ながら事務所へと向かった。
*
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琉斗(プロフ) - 更新待っていました。戻ってきたんですね!セブチ私も好きなのでまたこれから楽しみにしています!! (2016年3月21日 18時) (レス) id: 22dd3e39f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からっとちゃん | 作成日時:2016年3月21日 14時