21話 告白の返事 5 ページ35
月見里side
先生が、背中をさすっていた手を止めてからゆっくり離した。
「大丈夫？……全部出し切った？」
先生にそう聞かれて、なんだか恥ずかしくなる。
「すいません、ありがとうございます……」
小さな声で先生にお礼を言う。
あっ、そういえば、先生の名前分からない……
そう思って、先生に名前を聞こうとする。
「すいません、私、先生の名前が分からないんです……先生は私の名前覚えてくれてるのに、私が先生の名前知らないなんて……」
「確かに、自己紹介してなかったね。俺の名前は寝占裕貴(ねじめ ゆうき)だよ」
私が先生の名前のことを言うと、先生は優しく自己紹介をしてくれた。
しかし、1回で聞き取れなかった……
ん？……なじまゆうき？
待って、これ冥夜先生パターンじゃない！？
絶対、苗字の漢字と読み方難しいでしょ……！
そう思って、人前だけど珍しく胸ポケットからメモ帳とペンを取り出す。
「すいません、覚えられないので漢字と読み仮名書いてくれませんか？」
先生の名前が聞き取れなかったので、仕方なくお願いしてみる。
「確かに、俺の苗字難しいよね」
少し笑いつつそう言いながら、先生は私のメモ帳とペンを持って、名前の漢字と読み仮名をフルネームで書いてくれた。
「ありがとうございます！」
藤田先輩の担任の名前は……寝占裕貴先生。
寝占先生ね、覚えとこう。
寝占先生に促されて、校舎裏の段差に一緒に座る。
「俺さ、ここでタバコ吸おうとしてここに来たんだよね。さっき落としたのこれ」
寝占先生が、ポケットから携帯灰皿を出してから見せる。
あー、なるほど。
金属音みたいな音は、この音だったのか。
「よくここで冥夜先生と一緒にタバコ吸ってるよ。学校内でタバコ吸うのはあまり良くないから、このことは秘密にしててね」
寝占先生が、苦笑いしながら教えてくれた。
へー、冥夜先生もタバコ吸うんだね。
寝占先生曰く、冥夜先生は結構ヘビースモーカーらしい。
ちょっと面白い情報を知れた。
文化祭の時から思ってたけど、やっぱり寝占先生と冥夜先生って仲良いよね。
寝占先生って、地味な格好してるけどよく見たらまあまあ顔整ってる。
声めっちゃ低くて、なんだか落ち着いた雰囲気を醸(かも)し出してる。
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作者名：青菜(あおな) | 作成日時：2023年3月27日 14時
