21話 告白の返事 4 ページ34
月見里side
「じゃあ、また明日な」
優しい声で挨拶をする野田くん。
野田くんは、私の顔を掴んだ手を離してこの場を去った。
野田くんの姿が見えなくなるまで、ひたすら野田くんの後ろ姿をボーッと眺めていた。
野田くんがあまりにも優しすぎる。
どうして、私は野田くんを好きになれなかったんだろう……
こんなに完璧で素敵な人なのに。
「好きになれなくてごめんっ……！！！」
(はあっ、ぐすんっ……ううっ…………)
ただ立ったまま、とめどなく涙が溢れる。
下の雑草に2,3粒とどんどん涙が落ちていく。
「うわぁーん！うっ、あっ……うぇーん！」
学校なのに、1人で思いっきり泣いてしまう。
“大事な友達を失いたくない”という野田くんの言葉が何度も頭の中で繰り返される。
ありがとうっ……野田くん…………
カシャンッ……！
(えっ……！？)
物音のする方向を見ると、目を大きく見開く藤田先輩の担任の先生がいた。
「月見里さん、ごめんっ……！」
先生(寝占先生)が突然謝り出す。
突然の出来事に、動揺のあまり思わず固まってしまう。
「はぁ……携帯灰皿落としちまった……」
そう言いながら、金属製のアイテムを拾ってズボンのポケットにしまう先生。
(って、どこまで見てたの！？)
よく考えたら大泣きしてるところ見られてるし、今だって酷い泣き顔してると思う。
そう思い、急にパニックになって下を向いてまたひたすら泣いてしまう。
立ったまま泣いているので、地面にある雑草ですらどんどんぼやけていく。
自分はなんて酷い姿してるんだろう。
もう色々ぐちゃぐちゃだ……
そう思って絶望する。
「わぁーん！ああっ、うっ……」
胸を上下させて号泣する。
(えっ…………！？)
私、背中さすられてる……？
「月見里さん、ホントにごめん……！」
先生にまた謝られた。
「うわぁーん！ううっ、ああっ……」
ずっと先生に背中さすられながら、思いっきり泣く。
なんか、さっきからずっと涙が止まらない……！
こんなに泣くことも珍しいと自分でも思っちゃうぐらいに。
先生に背中さすられるなんて、一体どういう状況！？
そう思いながらも、私の背中をさする先生の手が温かくて、だんだん気持ちが落ち着いていく。
涙も出なくなり、今度は頭がボーッとする。
正直、泣き疲れた……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青菜(あおな) | 作成日時：2023年3月27日 14時
