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白濱「恋愛ってもっと楽しいもんだと思ってたよ」
笑い合って、馬鹿なことして、でも好き同士で、……そんな幸せなことを恋愛だと思ってた。
だから、こんなすれ違いばかりな俺らをきっとみんなは恋愛なんて言わないんだろうな。
白濱「俺はAを好きになって幸せだった」
『いやだ、』
白濱「涼太を好きなAでも良かった」
『いやっ』
白濱「Aが俺はを見なくてもそばにいてくれるだけで良いと思った」
『っ、なんで』
白濱「ただ好きになっただけなのに」
『やめて、やだ、』
外に逃げようとしたAの腕を咄嗟に立ち上がって掴む。
怯えたようなその表情に、俺は何をしてるんだろうかって呆れる。
好きな女にこんな顔させて。
白濱「たったそれだけなのに、好きになった代償がこんなだなんて知らねぇよ」
『やめてってば、』
白濱「Aならいつか目、覚ますと思ってた」
目を見れば、お互い同時に涙が零れた。
白濱「いつか俺は好きになってくれんじゃねえかって心のどっかで思ってた」
『やめてってたら!』
白濱「でも!!!今はもうお前に何の感情もわかんねぇんだよ」
『……亜嵐、?』
白濱「前は“お前”に名前を呼ばれるだけで幸せだったのに今は何も感じない。」
いつの間にか冷めてしまった君への気持ちも。
いつの間にか乾いてしまった涙も。
何もかも、壊れてしまえばいいとすら思った。
白濱「今あんたが泣いてる理由だって理解できない。泣きたいのは──────こっちなんだけど?」
パッと離した手に、Aの腕がダラリと宙を彷徨う。
ゆっくりと背を向けた俺に、亜嵐、なんて呼ぶけど、もう振り向く気も、何も起きねぇんだよ。
廊下を抜けて、ソファーに座り込んだ途端に溢れてきた涙が膝に滴り落ちる。
もしここで君がごめんと謝るなら、許してしまおう。
そう思ったのに、静かに音を立てて開き、閉まった玄関のドアに、思わず笑ってしまった。
白濱「っ、ははっ、はははっ!!!───────っ、」
最初から、この恋は上手くいかないだなんて、分かってたはずなのに、どうしてこんなにも涙が溢れるんだろうか。
そして俺は知らない。
数時間後、彼女が死体になっているだなんてことを。
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莉央奈(プロフ) - 内容が残酷で深くてすごく面白かったです! (2019年2月23日 12時) (レス) id: 454ae124db (このIDを非表示/違反報告)
ぴーゆい(プロフ) - 完結おめでとうございます!ラベンさんの作品めっちゃ好きで、このシリーズも最初から読んでました!!!完結したらちょっとさみしいけどずっと応援してます!! (2019年2月19日 19時) (レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - このシリーズはじめから読んでてほんとに内容が深くて毎回更新楽しみにしてました、!今回の話がバッドエンドで、自分もバッドエンドの話がけっこうスキなので、余計に更新が待ち遠しいです、、、 (2018年12月22日 14時) (レス) id: c161f68fab (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる(プロフ) - コメント失礼します、音子ちゃんはなんのお話に出てくる方ですか?? (2018年9月8日 15時) (レス) id: f7363ed3ba (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新待ってました。お話頑張って下さい (2018年9月8日 13時) (レス) id: 39b5516bcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年6月28日 18時