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それから十数年の時が流れ、豊臣は更に力を増した。先陣を切る武将の名は石田三成、刃のような男だと軍内でも噂されている。
此度の戦も彼は先陣を任された。向かってくる兵士の首を斬り、兜首の武者を見つけた途端地面を蹴って一気に距離を詰める。
「あーもう三成様！そんな雑魚は俺に任せてくださいっての！」
双刀を構えつつ彼を追いかける青年の名は島左近。三成ほどの武将なら、本来なら本陣で待機もいいはずなのに。
「これで千だ」
「千…？」
普段は何人切り伏せたのか数えもしないのに、彼は確かに千と言った。何か引っ掛かるような。
気になって尋ねたところで彼は答えてくれないだろうし、刑部だって教えてくれないだろう。かくなる上の手段として残っているのは…
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「半兵衛様！半兵衛様！」
庭へ繋がる縁側でお茶をする半兵衛と白菊の姿を見つけた。穏やかなお茶の時間を邪魔してしまったことは後で謝るとして。
「おや、どうしたのかな？」
「今回の戦、三成様が兜首を討って千って言ったんすよ。何か理由があんのかなーって…三成様本人は絶対に教えてくんねーし」
「あぁ…そうか、まさかこんなに早く。
左近君、今から言うことを他言しないでくれたまえよ」
「了解っす」
「三成君が小姓の時に約束したんだよ。
�爐海譴�らの戦で兜首を千取れたら紫乃と婚姻させる�瓩辰董�
「へー……は！？こ、婚姻！？紫乃様と！？」
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