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「さて、仕事場へ案内しよう。紫乃も待たせてしまっているからね」
半兵衛に連れられて、城の中を案内される。豊臣の城とあって、広く入り組んでおり、迷子になってしまいそうだ。
割り当てられた医務室には薬棚や書物といった軍医に欠かせない代物は既に用意されていた。聞いたところ、以前いた軍医は歳だからと二月ほど前に軍を抜けてしまったらしい。
「何か必要なものがあれば言っておくれ。日ノ本各地だろうと、南蛮からだろうと取り寄せるよ」
「かしこまりました、半兵衛様」
白菊にも荷解きがあるだろうから、今日はこのくらいにしておこう。可愛い妹を部屋で待たせていることだし。
一声かけて部屋に入れば鞠を持った紫乃が目を輝かせた。
「にいさま!」
「待たせたね、紫乃。いい子にしてたかい?」
「さきちにあそんでもらいました」
「あぁ…あとでお礼を言わなきゃね」
歳の近い佐吉は紫乃にとって近しい存在らしい。当の本人は身分の差を気にしているようだが、他国の跡継ぎなんぞよりよっぽど信頼出来る。いっそのこと二人をくっつけさせてしまおうか。
「……いや、まだ早いか」
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