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「では、我は瀬戸海へ参るのでな」
「瀬戸海?何故ですか?」
「話し合いよ、ハナシアイ。同盟を組んでおいて損は無かろ」
ではな、と御輿が浮いたかと思えば刑部は行ってしまった。
西にて国を治める国主たちに文は既に出してある。真田、毛利、島津、そして。
「長曾我部って家康と仲良くありませんでした?俺たち石田軍についてくれるんすかね?」
「だからこそ刑部が行動を起こしているのだ」
「長曾我部様に会いに行かれるのですか?」
「いえ、毛利と何やら密会がある様子で」
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その夜、三成は紫乃の部屋を訪れていた。
一言声をかけて障子を開ければ、月光が差し込む中紫乃がこちらを見やる。
「待っていましたよ、三成」
「はっ」
「そう固くならないでくださいな、夫婦なのですから。
私が今日あなたを呼んだのには理由があるのです」
人払いも済ませてあります、と言う彼女に薄々勘付いてしまう。
「この戦、家康様か三成のどちらかが勝者になることでしょう。敗軍の大将は大逆人となります、きっと打首を免れることは難しいでしょう」
「紫乃様…」
「私が豊臣の名を継ぐ最後の者であるとは理解しています。ただ、もし…もし子を成すのであれば何処ぞの大名なんかより、三成、あなたがいいのです」
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