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兄の訃報を聞いて以来、すっかり紫乃は弱ってしまった。食事もとほとんど摂らず、部屋に篭りっぱなしだという。
「紫乃姫様、失礼致します」
一言かけてから白菊は部屋へと入った。
部屋の隅に怯えるようにして鎮座する彼女に頭を下げる。
「体調のほうはいかがでしょうか」
「…大丈夫です。
白菊様がその調子ならば、きっと三成にも心配をかけてしまっているのでしょうね」
武家の姫たるもの、立ち直らなければならないことは理解しているのに。彼女は言った。
「次に進まなければならないのに、それが出来ない私は臆病者です。三成に嫁いでおきながら世継ぎのことですら考えられないのです」
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