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長年仕え続けた自分は勿論、大阪城から共に来た兵士たちも悲しむ声を上げたのだ。半兵衛の実妹である彼女の哀しみは測り知れない。
「三成様、念の為に診察致しましたが紫乃姫様に怪我はありません。ただ心の傷は余りにも深い……どうか数日ほど姫様のお傍にいてくださいませ」
「はい。白菊様もお怪我はございませんか?」
「ええ、かすり傷ひとつ」
「すぐ湯浴みの支度をさせます」
「私よりも紫乃姫様を。大変疲れておられますゆえ」
泣き止むまで待った方がいいのだろうが、序列を差し置いても彼女を先に休ませた方がいいのは明らかだ。
白菊も心の整理をつけたい。大切な人間を失った紫乃に比べれば些細なことであるものの、父親から受け継いだ道具をまるっと置いてきてしまったのだから。
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