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「三成…!」


「紫乃様、」


三成の懐に飛び込んで、彼の羽織りがシワになってしまうほどぎゅうと掴んだ。


何とか佐和山まで逃れることはできた。今頃大阪城は落城していることだろう。


自分たちを除いて、大阪城から避難する者はいなかった。兵士、小姓、女中までも、誰一人として。


「兄様が、兄様がぁ…!」


夫である三成と合流したことで緊張の糸が切れてしまったのだろう。泣き始めてしまった紫乃を、三成はぎゅうと抱き締めた。

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作者名:クヴァール x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年2月19日 10時

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