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「では、紫乃様私は先に佐和山へ向かいますので」


「ふふ、はい。左近、刑部 三成のことは頼みましたよ」


「あいわかった」


「りょーかいっす!」


秀吉から賜った兵士を引き連れて、三成率いる石田軍は佐和山へと向かった。


門のところまで見送りに出ていた紫乃は、彼らの後ろ姿が見えなくなったところで城へと引き戻った。近いうちに戦があるのだ、自分は参陣しないけれど。


自分も出陣する、と半兵衛に申し立てたところ「嫁入りした者がそう簡単に戦に出るものじゃない」とばっさり切り捨てられてしまった。念の為白菊も城に残るから何かあれば彼に言うように、と頭を撫でられて 大好きな兄は出陣していった。


────────


「で、伝令ー!伝令ー!」


豊臣軍の出陣から数日後、一人の騎兵が大阪城の門まで駆けてきた。


門番を任されていた兵士二人は揃って首を傾げる。


「伝令とな?」


「此度も我ら豊臣の勝利であろう?」


伝令を伝える兵士の顔が、曇る。


「ひ、秀吉様が徳川家康によって討死!並び半兵衛様もご病気が悪化されて戦場で亡くなられました!徳川の追手がすぐそこまで迫ってきております、どうか紫乃様だけは!紫乃様をすぐに佐和山へお連れしてくだされ!!」

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作者名:クヴァール x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年2月19日 10時

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