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「紫乃様、失礼致します」
声をかければ「どうぞ」と障子の向こうからご返答。此度の戦、彼女は参陣しなかったのだ。
「この三成、此度の戦で千つ目の首をとりました」
「…まぁ」
これほどに早く、と彼女は零した。三成が先陣を任されることが多いのは知っていたのだが。
「兄様と私との約束を覚えてくれていたのですね。嬉しいです、三成」
「はっ」
「あぁとても嬉しいです…あ、こちらをあなたに渡そうと思っていたのです」
彼女が取り出したのは桐の箱。それを三成に差し出して開けるよう催促した。
「これは…?」
「ふふ、開けてみてください」
開けてみると、上等な襟巻きが収められていた。藤色の美しい代物は彼女への献上品のはずなのだが。
「献上品で二枚頂いたのです。せっかくなら刺繍も入れていただけると呉服屋の方が仰っていたので大一大万大吉と九枚笹を用意していただいて…」
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