*005 夏の日に聞いた事 ページ6
一本の電話を取ってそれが先生からだと理解するまでに時間がかかった。
Aが事故にあった。
そう、聞かされたのは途中登校日から数日経った頃だった。
「………はい、はい、わかりました…はい」
始業式には戻るから、気遣ってやれ。
同情するかのような言葉を俺は聞き流した。
ショックというよりは罪悪感しかなかった。
後で聞いた話、
事故にあった当日は俺の家に行こうとしてたらしい。
なんで来ようとしたのか、とかはどうでもいい。
自分が出向いていればこんなことにはならなかった。
そう考えると心の中が罪悪感で埋め尽くされた。
「…………A…」
それだけならまだよかったのかもしれない。
学校に来たら初めまして、なんて。
罰が当たったんだ。
俺が悪いから、神様が彼女の記憶を奪ってしまった。
さすがにショックだった。
でもそれよりもクラスの上辺だけの優しさをみると吐き気がした。
「…………やば」
目を開けるとチャイムが鳴っている。
保健室、かな。
帰る準備をして保健室に行く。
先生はいなく、無人のままの保健室。
早退者と書かれた紙に自分の名前を書いて職員室。
ノックして中に入れば入り口付近に担任はいた。
「気分悪いので早退します」
「わかった、気をつけてな」
失礼しました、と職員室を出る。
鼻がツーンと痛んだ。
135人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず - ばっどえんどの恋愛小説っていいですね〜 (2015年2月14日 0時) (レス) id: 202867a570 (このIDを非表示/違反報告)
綾結(プロフ) - 新作おめでとうございますー!鹿さんがシリアス書かれるということでヒャッハー!してました。お体に気をつけて下さい…!応援してます! (2014年10月28日 23時) (レス) id: d1aba36142 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 新作おめでとう!お鹿のシリアス?なのかな?ということでテンション上がってます!更新はお鹿のペースで 無理せずに頑張れ! (2014年10月28日 8時) (レス) id: 15f0901f94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ