悪魔に救いを(前編)＊神代類(リク) ページ10
『夢で逢えたら』の前日譚的なお話です
まずそちらからどうぞ
＊
Aさんside
灰色がかった風景が、そこにあった。
次々と倒れていく。親しくしていた彼女も、慕ってくれていた彼も。
全てが崩れていく。それを私は止められない。
なぜなら、全ての元凶は他ならぬ私自身なのだから。
一鏡の中に映る私は、悪魔のような顔をしていた。
＊
嫌な夢を見た。
過去の追体験は、過去を恐れている私にとって、一番の罰だ。
上役から命じられた謹慎は、何百年も続いていた。
人間からすれば、途方もない時間かもしれないが、寿命の無い悪魔からすれば、数週間程度のもの。
それでも毎晩見る悪夢は、苦しい。それは反しのついた棘のように、決して消えることの無い記憶と化して、私を永遠に苛もうとしているかのようだ。
「A様、お客様がお見えですが」
ふと聞こえた召使いの声に、思考の海に溺れていた私は我に返る。
「客？私に？」
「顔を隠していたので、素性は定かではありませんが…お会いになられますか？」
あんな事を起こした私に客が来たのは、謹慎を命じられて以来初めてのことだった。
「…通して」
一この来訪者が、私の運命を変えるとは、この時の私は知る由もなかった。
＊
「はあ」
「悪魔の住む居城は珍しくてねぇ。ふふ、興味が尽きないよ」
一か月前に私の住む家に来たのは、結論から言ってしまえば天使だった。
さすがの私も驚いて、すぐに追い出したものの、この類と名乗る天使は、度々知らないうちに侵入しているようになった。
「顔色が悪いね。眠れてないのかい？」
「あなたには関係ないでしょう？それより、早く出ていってくれない？」
「僕は君と仲良くしたいだけなのだよ？」
私の椅子に座って、大仰に項垂れて見せる天使に、ため息が零れる。
そもそも、天使と悪魔は敵同士であって、仲良くするという言葉はまかり間違っても、出ることはない。
それに。
「私と会っていることを知られたらどうするわけ？」
「おや、心配してくれているのかい？悪魔さんは意外と優しいんだね」
「…今すぐ消えないなら、私が消してあげる」
「怖いねぇ。やっぱり悪魔だ」
悪戯っぽく笑う天使は、それでも椅子から立ち上がった。
「ご機嫌が悪いようだから、また出直してくるよ」
「もう来ないで」
聞いているのか聞いていないのか、天使は意味深に笑って、パッと消えた。
後には真っ白な羽が一枚、落ちていた。
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あいらいん - こんにちは！お話全部面白くて気づいたら読み終わっていました！よければリクエストを聞いていただけないでしょうか…？できればでいいのですが、遠野新お願いします！夢主が新くんより年上だとより嬉しいです！よろしくお願いします！ (2023年3月28日 12時) (
レス) id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 月兎さん» 病み要素のないお話、だと思います、了解です！またお時間いただきますね！ (2021年11月21日 7時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - 雪柳さん» 正統派でお願いします！正統派って何ですか？更新頑張ってくださいね！楽しみにしてます！ (2021年11月21日 6時) (レス) @page19 id: 15b58e3eb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 月兎さん» ニーゴのリクありがとうございました！類くんですね、正統派系かヤンデレ系かどっちがいいですか？ (2021年11月20日 21時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - Duskさん» リクエストありがとうございます！レオニですね、了解です！少々お待ちを！ (2021年11月20日 21時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪柳 | 作成日時：2021年8月19日 19時
