杞憂＊天馬咲希 ページ3
咲希side
風が通り過ぎていく。
空は青。完璧な青ではなくて、薄く白が混ざった青。
太陽は微かに西に傾き始めている、そんな午後に…
＊
夏休みの中盤、ちょうどお盆の時期に、家族で避暑地にある、伯母さんの別荘に行けることになった。
その事が分かったとき、嬉しさと共に、緊張感が胸を締め付けた。
何年も会ってない、従姉のAちゃんに会える。
Aちゃんのことがアタシはずっと好きだった。もちろん今もその気持ちは変わってない。だけど…
Aちゃんが変わってたらどうしよう？アタシのことなんて忘れていたら？
期待と不安が混じり合ったまま、時間は過ぎていく。
＊
Aさんside
毎年、夏が来るとこの別荘に泊まる。
避暑地とは言ったもので、都会と比べると驚くくらい気温に差がある。朝や夜は8月だというのに半袖では肌寒いくらい。
ここ数年は遊び相手もいない夏だったので、今年は来るのをやめようかと思っていた。
だけど、従兄妹が来ると聞いて行くことにした。
同い年の司くんと、一つ年下の咲希ちゃんと会うのは随分久しぶりで。
咲希ちゃんのことを思うと、胸が締め付けられるのはきっと…
だけど、もし咲希ちゃんが私のことなんて覚えていなかったら？
そうしたら私は、もうここには来ない。
＊
咲希side
昼下がり、別荘に着くと、Aちゃんはいなかった。伯母さんは、昼食を食べたあと外に出ていったと言っていた。居場所は分からない、と。
アタシはAちゃんがいる場所を知っている。
伯母さん、Aちゃんのお母さんでさえも知らない、Aちゃんの居場所を。
その事実が嬉しいけど、同時に呆れてしまう。アタシはAちゃんのお母さんとまで、張り合っている。
別荘の近くに、小高い丘がある。そこにAちゃんはいる。根拠なんてない。ただ、知っているだけ。
丘の麓、頂上へと続く小道の前に立って上を見上げると、遠目にも分かる、Aちゃんの姿が見えた。
胸がキュッと疼いて、鼓動が速くなる。
ああ、ずっとこの時を待っていた。
＊
Aさんside
丘の上に立って、下を見渡していると、陽の光に反射する金色の光を見つけた。
心臓が速くなっているのが分かる。思わず一歩踏み出した私の背を、丘を渡ってきた風が押す。
ああ、心配なんてしなくてよかった。
2人の影が重なるまで、あと、少し。
＊
私の好きな小説を読んでいて、思いついたお話
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あいらいん - こんにちは！お話全部面白くて気づいたら読み終わっていました！よければリクエストを聞いていただけないでしょうか…？できればでいいのですが、遠野新お願いします！夢主が新くんより年上だとより嬉しいです！よろしくお願いします！ (2023年3月28日 12時) (
レス) id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 月兎さん» 病み要素のないお話、だと思います、了解です！またお時間いただきますね！ (2021年11月21日 7時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - 雪柳さん» 正統派でお願いします！正統派って何ですか？更新頑張ってくださいね！楽しみにしてます！ (2021年11月21日 6時) (レス) @page19 id: 15b58e3eb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 月兎さん» ニーゴのリクありがとうございました！類くんですね、正統派系かヤンデレ系かどっちがいいですか？ (2021年11月20日 21時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - Duskさん» リクエストありがとうございます！レオニですね、了解です！少々お待ちを！ (2021年11月20日 21時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪柳 | 作成日時：2021年8月19日 19時
