#13 ページ13
．
「…へ、」
翔太「…っあーー、今言うつもりじゃなかったのに…」
「…」
翔太「…。好きだ、A」
.
．
吹っ切れてない相手に告白されるとどうも心がムズムズする
しかも今、目黒の事が好きなのか分からなくて悩んでいたこの時期。翔太先輩にまで告られるとは思ってなかった
手に握ったカフェオレを口に運んでひとくち
さっきよりも一段と苦く感じた
．
翔太「…Aは、今好きな人いるの？」
「………わか、らない」
翔太「……目黒？」
「…え、なんで、？」
．
不意に翔太先輩から紡がれた「目黒」という言葉に胸がザワつく
．
翔太「最近、一緒にいるところよく見かける」
翔太「…好きなの？目黒のこと」
「……すき、…じゃない…」
翔太「…理由も言わず別れて悪かったと思ってる。でも、俺はずっとAが好き」
「…っ、」
翔太「…返事、今じゃなくていいから。でも考えておいて欲しい」
「…うん。わかった」
翔太「…じゃあ、俺はまだ仕事が残ってるから。気をつけて帰りなよ、？」
「うん、ありがとう」
．
．
翔太先輩に別れを告げて電車に乗り込む
窓から見えたネオンの街はもやもやする私の気持ちを照らすようで、思わず窓から目線をそらす
……私は、誰を好きなんだろう
ため息は誰にも届くことなく、胸の中に溶けていった
．
．
家に着いてから、カメラロールを漁って、翔太先輩と過ごした日々を思い出してみる
．
「…ふっ、なにこれ笑」
．
そこには、料理をしている私の写真が大量にあって。
恐らくこれを撮ったのは翔太先輩。わざわざ非表示のところに隠してたの？
．
「……ん、これなんだろ」
．
非表示の欄にあった、料理をしている私の動画を見つけて開くと、翔太先輩の声が聞こえてくる
……ああ、私、幸せそうだな
．
翔太「…A、なーに作ってんの？」
「今日のお昼ご飯！」
翔太「……あー、幸せだなぁ」
．
「翔太先輩……」
．
翔太先輩の気持ちも、目黒の気持ちも裏切りたくない
それでも、私の中に突如として浮かぶ顔は、いつも決まってアイツだけだった
．
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作者名：相翔 | 作成日時：2020年8月9日 14時
