赤いスリッパ

30. 【青】 ページ31

んーっ！！今日はええ天気やなぁ〜



昨日亮が話したことは

おれらも今まで言えへんかったけど、

どうなるんやろって気にしててん。




正直おれらも初めは亮と同じ気持ちやった。


あんまし詳しくは言えへんけど

去年おれらが入部したとき、女子も1人おった



その女の子が狙ってたんが亮やってん。

亮は顔も整ってるし、雰囲気も大人っぽくて

入学してすぐ先輩からもモテとった。



亮はそういうの全く興味なかってんけど、

一緒に入った女の子はほんまに気の強い子やったみたいで


5月くらいに亮に告白したらしいねんけど

案の定亮の答えはNOやって、

それに納得いかへんかったんか、プライドが

どうの、とかやったんか知らんけど


その子はおれらについて有る事無い事

噂を振りまき始めた。その中にあったんが、



亮がその子に無理やり妊娠させて、

それを知った亮が怖くて逃げたっちゅう噂。



実際その子は体育の先生との子を妊娠して

その先生がバレる前に辞めてったのに

自分が責められるのも先生が責められるのも

嫌やからってのと、亮に振られて悔しかった

のとでそんなことを言ったらしい。



誰の赤ちゃんかなんて他の人には分からへんし

実際その子のお腹もどんどんおっきくなるし

周りはそれを鵜呑みにして、亮から離れてった



そしてそれは、おれらも一緒。


今やったらそんなの絶対信じひん。

ほんまやってもそんなこと死んでもせえへん。


けど、あの頃のおれらに絆なんてもんは

まだ無くて。なんの責任もない亮に

ほんまに、ほんまに辛い思いをさせてしまった



やけど、ただ1人、渋やんだけは違くて。



身に覚えもない噂のせいで、どんどん離れてく

周りを見て、人間不信になりかけとった亮を

見捨てず、かと言って無理に入り込まず、

いつも黙って隣におってくれた。



部活にも絶対亮を連れてきた。

『お前はなんも悪いことしてないんやったら

堂々としてればええやん、なんで隠れんねん』

亮は、あんときに渋やんが言ったこの言葉で

びっくりするくらい救われたんや、って

いつも言う。


おれらもおれらで、渋やんから


『あの女の言うことマジで信じてるんか。

お前らの目には亮がそんな風に見えてたん？

せやったら、悪いけどお前らのアホみたいな

考えに付き合うつもりはない。』


って言われて目が覚めた。

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