二話 ページ19
「失礼致します、きりやん様。本日は…」
「ああ、知ってるよ。新人でしょ？足音が2つ聞こえてたんだよね。」
きりやんがそう言うと隣にいる先輩は私を肘で小突く。こちらを睨むように、急かすように先輩の視線が私を貫く。
多分、自己紹介をしろという事なのだろう。私は一歩前に足を踏み出した。
「初めまして、新しくメイドになりましたAです。」
胸を張って堂々と。でも、一つ一つの仕草は丁寧に。別に誰に見られている訳では無いがメイドとして昇格しなければならないのだ。気は抜けない。
どのくらいの時間がたっただろうか。自己紹介をし終わった私に何も反応をしないきりやん。先輩は顔を真っ青にして私の方をじっと見ているし、私も冷や汗をかいている。
幹部を怒らせるというのは死を表す。
それを知っているからか、同情か。先輩はきりやんから私を庇うようにきりやんに話しかけた。
彼女の手は震えていた。多分、きりやんが何も返事をしないということは初めてなのだろう。
「きりやん様。なにか彼女に問題でもございましたでしょうか。彼女はまだ城について詳しくなく…」
「君、ちょっと外出てくれる？」
「畏まりました。失礼致します。」
焦った顔できりやんに話しかける先輩は撃沈。それどころかさっきより最悪な状況だ。先輩は居ない、きりやんと二人きり。助けを呼べそうもない。
スマイルに幹部には絶対に関わるな、なんて言われてたけど仕事なら大丈夫だよねと思って向かう先が幹部の元だと分かっていてもここに来てしまった自分をとても呪いたい。
ここに来た時に聞いたドアの音をもう一度聞く。
先輩は心配そうにこちらを見ているがやがてそんな姿も見えなくなった。
時計の針の音が部屋を響かす。チクタクとなる音が響くここは、まるでサスペンス映画のワンシーン。
「…単刀直入に聞く。俺と会ったことある？」
予想した通りだった。ここではい、あっています。と言えたらどんなに楽か。きっときりやんは私を幼馴染のAだと疑っているのだろう。元々バラそうとは思っていたが如何せん時期が早すぎる。
もしここできりやんにバレたとしよう。きりやんは頭がいいから、言えばきっと協力してくれるはずだ。
でももし私に何かあったら？
自意識過剰かもしれないが幼馴染達は多分皆それぞれを大切に思っているから多分きりやんは私を助けるだろう。見捨てるなんて選択肢ないはず。
私とスマイルが恐れていることはこれだったのだ。
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黒灰白有無％(プロフ) - やっぱり面白くて大好きです！約2年前から読ませていただいていて其れから今迄少なくとも20周はしてるほど大好きで、消失系の小説で幼馴染設定はあまり見たことがないので嬉しい?です！！気が向いたらでいいのでまた更新をまってます！これからも応援しております！！ (8月6日 0時) (
レス) @page35 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
愛流 - ストーリーが全然飽きないしすごい面白いです！！更新ゆっくりでいいので待ってます！頑張ってくださいっ！ (2022年8月2日 15時) (レス) @page35 id: f100bc9df8 (このIDを非表示/違反報告)
柿 - っあ〜面白すぎる…更新頑張って下さいね! (2022年7月30日 0時) (レス) id: 02b490d08e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - つゆさん» こんにちは、コメントありがとうございます…！更新頑張っていきます…！応援メッセージありがとうございました！ (2021年10月11日 15時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
つゆ - とっても面白いです、、！五感消失クラフト大好きなので、もぅ、、神ですね！これからの展開が気になる…更新頑張ってください。応援してます！！ (2021年9月22日 23時) (レス) @page34 id: 5d979c15e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾄｸﾆﾍﾞﾂﾆﾅﾆﾓﾅｲﾖ | 作成日時：2021年9月14日 13時
