【募集企画】秘密の孤児院【本編】 (ページ45)

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同等【リーノ】ページ45

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自室にて韓国語の学習も兼ね、韓国語の本をベッドに寝転がりながら読んでいると、何やら
廊下が騒がしい。試しに栞を挟み、退室すれば廊下には軽い人だかりが出来ていた。私は
側に居た龍斗の肩を叩いた。龍斗は困惑している私を見て、人だかりの中心を指差した。

「あれ…見ない顔だね。ちょっとだけ紗良に似ているかも。新入り？」

「そうらしいぜ。紗良の実の妹だってさ！確かに紗良に似てるところあるよなー…」

「確かにね。…仲良くしたいし、私も話し掛けようっと！」

龍斗はそう少女の顔を凝視した。私はその龍斗の発言を横目に、私はその少女に近寄る。
少女は紗良に少しでは無くとても似ていた。愛らしい顔立ちだったが、大人びている。

「ねえ。皆と話しているところ悪いけど、君、新入りだよね？初めまして、私はリーノ。
オーグラード大学院って分かる？私、そこを首席で卒業したの。よろしくね！」

そう言い、社交辞令として手を差し出す。これが初対面の孤児に対する定番の挨拶だ。
オーグラード大学院が何なのか分からない者だろうと、「首席で卒業」という言葉の
重みは理解する。そして「これは皆の秘密だよ？」と締め括り、仲間意識を持たせる。
私はこの挨拶で皆と親しんだ。…だが、今回は異例の少女のようだ。少女は口を開ける。

「知っています。あの大学院、私も推薦されていましたし。リーノ姉さん、ですよね？
既に存じています。私も聖快大学を首席で卒業しているので、よろしくお願いします。
…あ、私、秋華と言います。十歳です。…という訳で、よろしくね、リーノ姉さん。」

「聖快大学…？嗚呼、日本国で一番頭の良い大学院ね。それを首席で卒業？すごいね！」

口調が既に十歳のものでは無かったが、それには突っ込まないでおこう。私はそう思い、
秋華と名乗る少女を凝視する。この口調から聖快大学を首席で卒業した、という事が
嘘だろうと、頭が良い事が窺える。私はとりあえずと言わんばかりにそう秋華を褒める。

「…あっ、リーノ姉さん。そう言えば、大和兄さんの風邪の影響で、肝試しが二日後か
三日後にあるんだって。それの飾りを作りたいんだけど、手伝って貰えないかな…？
後、リーノ姉さんのお部屋に濃硫酸とかの薬品は無い？飾りに使いたいんだけど…」

「えっ、大和風邪引いたんだ。後でお見舞いに行こうっと…手伝いは良いし、濃硫酸も
実験が終わったから良いけど、濃硫酸を何に使うの…？」

…秋華ちゃん、恐ろしい子。