サモトラケの顔【ヒロアカ】（修正中） (ページ1)

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「お前、今までどこに行ってた」
　
　

　
『二か月ぶりに帰って来た同居人に無愛想だなあ』
　
　
　
　
　
玄関を開けると、私が帰ってくるのが分かっていたかのように仁王立ちしている同居人＿＿相澤消太さん。
　
　
よっこらせとキャリーバックを家に上げると
誤魔化すなと頭を叩かれた。
　
　
　

　
『叩くことないじゃないですか。
ただの一人旅ですよ、フランスへ』
　
　
「それ自体は構わん。ただ行先を言ってから行け」
　
　
『毎回のことなんですから、もう諦めてください』
　
　

　
　
にっこりと笑うと、消太さんの眉間のしわはより濃くなる。
　
それに背を向けてリビングに入ると、シンクには食器一つなく片付いていた。
　
　
　
　
『私が帰ってくる度、ちゃんとしたご飯を食べていないのが分りますね』
　

「俺は暇じゃないんだ」
　
　
『ありゃ、そう言うなら明日のために寝たらどうです？』
　
　
　
　
　
時計の針はもうすでに日付を超えているというのに。
　
本当に嘘が下手な人だ。
　
　
　
　
肩にかけていた荷物を置き、椅子に引っ掛けたままのエプロンをつける。
　
　

　
　
『軽くご飯作りますから、お風呂にでも入ってきてください』
　
　
　
『ああ、そうだ。』
　
　
　
　
　
　
振り返ると不満げな顔は健在で。
　
　
それにクスっと笑う。
　
　
　
　
　
　
　
『サモトラケのニケ、素敵でしたよ』
　
　
　
　
　
　
　
満面の笑みで旅行の感想を伝えると
　
消太さんはいつものように溜息をついてこう言うのだ。
　
　
　
　
　
　
　
「おかえり」、と。