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鬼になってしまった兄を、鬼狩りは殺さなければならない。被害が増えるからだ。
父から鬼の事は聞いていたし、鬼を増やすことの出来る鬼の事も聞いていた。その時、私はハッと思い出しお館様に尋ねた。
あ「あの鬼は鬼舞辻なのでしょうか?」
お館様「いいや。あれは、鬼舞辻とはまた違う存在だ」
そうお館様は答えた。
あの鬼は鬼舞辻より昔に生まれ、目的の為に物珍しい人や神に携わっている者を喰い殺しているのだと。
だから、母を喰ったのか。けど何故兄は鬼にされたのだろうか。幼い私は兄が鬼にされた事がどうも理解出来なかった。
お館様は、鬼舞辻は鬼を増やす際自分の事を誰にも言えないように呪いを入れたり、鬼の把握や場所思考などを読めるようにしているらしいが、兄を鬼に変えた鬼はただ鬼にしたかっただけらしく、鬼舞辻のような呪いなしはないらしい。
けれど、鬼は鬼。人を喰らうという事に変わりはない。
兄は飢餓症状もない。ましてや私を食べず、泣いている私を慰めてくれていた。兄は人を食べない。
私はそう判断し、柱達とお館様に訴えた。けれど信じるものは少なかった。納得出来ないのも無理はない。はいそうですかと認められるものではない。
証明するため、兄を斬り血を流す柱。兄はただ黙って座っているだけだった。血に見向きもしなかった。
だから、その時私は証明出来たと思った。…思っていたんだ…。
暫くして私は鬼狩りになる為、修行をし我流の呼吸法を編み出し。最終選別に受かり、8歳という若さで鬼狩りになった。
体は小さいが、腕力も力も男性と同じくらいに持っていたし、我流の呼吸法は威力が強かった為鬼の頸を斬るのは容易かった。
鬼狩りになった初の日、初任務で鬼である兄を一緒に連れて任務をこなした。
その際気付いた。怪我をしていたのに、もう傷が消えていたり塞がっている事に。鬼に心臓を貫かれても死ななかった。私を鬼と勘違いした鬼狩りに頸を斬られたが、死ななかった。
そいうのに詳しい柱に診てもらうと、私は呪われていた。兄も驚いていた。
兄は私を守りながら鬼狩りに協力してくれた。そのかいあってか、皆が兄を認めつつあった。
けれど、現実は甘くはなかった。兄はとうとう鬼の本能に逆らえず、食べても死なない私を喰い始めた。
鈍い痛みと同時に、あぁ人間に戻してあげられなかった…と悔しさが押し寄せてきた。
涙が静かに流れた。手遅れだと、もう戻れないと…絶望した。
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月夜美(プロフ) - お褒め頂きありがとうござります!しかし自身が持てぬのでござる(泣) (2019年7月19日 23時) (レス) id: db3d26a702 (このIDを非表示/違反報告)
大福の神(プロフ) - わいからしたら充分画力があるでごさる (2019年7月19日 22時) (レス) id: 13ce12324c (このIDを非表示/違反報告)
月夜美(プロフ) - ありがとうございます!面白いと言っていただけてとても嬉しいです! (2019年7月19日 17時) (レス) id: db3d26a702 (このIDを非表示/違反報告)
人形師(プロフ) - 凄く面白いです!続きが気になります。応援してます!! (2019年7月19日 11時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
月夜美(プロフ) - 毎度毎度申し訳ありません…ありがとうございます (2019年7月17日 10時) (レス) id: db3d26a702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜美 | 作成日時:2019年7月17日 0時