百三十二話 妓夫太郎視点 ページ11
堕姫の中から聞いていた。
Aと名乗る奴は、妙な力を持っていた。
その妙な力で、俺たちに流れる無惨様の呪いを抑えたとAは言っていた。
確かに、あれ程まで体が闇に包まれていたのに、今は全く包まれていなければ、闇も感じない。
堕姫も同じことを思っているんだろう。さっきからずっと考え込んでいるし。
俺は、堕姫の名前を呼び大丈夫かと尋ねた。
いつもの堕姫らしくなく、堕姫は大丈夫だと答えた。
Aのあの言葉が引っかかっているんだろう。
分かるよ。俺も…ずっとAが言ったあの言葉が頭の中でぐるぐると回っているからな…。
堕姫の目を通してAを見たが、お面をつけていて表情が分からなかったが、放つ言葉は全て俺たちには暖かくて…勿体無い…そう思ってしまった。
そんな、暖かい言葉をこんな俺たちに向けるべきじゃない…。
それに、なんか間抜けなんだよな…アイツ…。
放って置けない…守ってあげなくてはいけない…そんな感じがするんだ…。
でも、この感情は戦いの邪魔になってしまう…。
多分堕姫もAに対して、何かの感情を持ったはずだ…俺たちは兄妹だからな…。
俺は堕姫に再び話しかけ、戦えるのかと聞いた。
堕姫は驚いた顔をし、戦えると答えた。だけど、その言葉も顔も本心から言っている…というわけではないようだった。
だから俺は、堕姫にAの仲間になりたいのならなっても良いんだぞと言った。
堕姫はAは鬼狩りだしと渋りながら言ったが、俺は大丈夫だろうと答えた。
そして、堕姫はしばらく考え覚悟を決めAの仲間になると言った。
俺はそれに賛成し、捉えている者達を解放しに行こうと堕姫に言った。
Aはきっと暖かく迎えてくれる。Aになら俺の体も命も捧げてやれる。
アイツはきっとみんなの太陽だ。
俺たちは鬼になったから、太陽を拝めなくなった。鬼じゃなくても俺たちは明るい日の下など歩いてはなかったがな。
だけど、Aはそんな俺たちを太陽を見せてくれる。暖かくて心地が良い。
俺なんかが手を取ってはいけない手だということは理解している。
だけど…許して欲しい…あの手を取りたいんだ…守りたいんだ…。
神様どうかお許しください。どんな罰でも全て俺が引き受けます。
堕姫…梅の分も全部。だから…。
どうか…あの暖かい手を…太陽を手に取ることをお許しください…。
俺はそう心の中で呟き祈った。
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れもん(プロフ) - ずっと前から応援してます!続きが気になります...!更新頑張って下さい! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 5102ae8dc8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - とても好きな物語でした!続きが早く見たいです!!頑張ってください。 (2021年1月16日 10時) (レス) id: 30a8cc87a9 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - いつもお疲れ様です!毎回楽しんで見させてもらってます!続き楽しみです!これからも頑張ってください! (2021年1月10日 10時) (レス) id: 43de5df9b0 (このIDを非表示/違反報告)
月夜美(プロフ) - サヤさん» 応援ありがとうございます!とっても嬉しいです!頑張って頑張って更新させて頂きます! (2020年12月22日 22時) (レス) id: 8cc5bdea23 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ(プロフ) - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2020年12月22日 21時) (レス) id: 4f60a72d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜美 | 作成日時:2020年12月10日 14時