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もしかして ページ3
静かな居間。
人は居るはずなのに
物音一つたっていない
静寂に包まれた中
まるで時を刻むかのように鹿おどしが鳴り響く
その静けさを破ったのは
戸を開ける音
先ほどの少年が立っていた
男「ああ、遅かったね…
『薬研』 」
そう、かの有名な織田信長もこよなく愛した
粟田口派短刀 薬研藤四郎 その人である
男「どうだった、不動の様子は…」
と言いかけた時、
薬研から放たれる殺 気が部屋中に行き渡った
肌で感じるほどに。
異常な様子から何かを察したのか
その場にいる全員が苦い顔をした
いや、一部からは更に酷い殺 気があふれた
薬「大将…」
薬研の口からこぼれた一言は
とても冷たく
まるで怒りを押し殺 したような
そんな声だった
薬「不動は………
自分の名が分からなかった」
振り絞った様なその声、その一言に
言葉では言い表せない感情が部屋全体を
覆い尽くした
続く
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作者名：夜鈴 | 作成日時：2017年6月14日 22時
