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53話 ページ6

蘭が新一とAを連れて帰ることになり、阿笠博士は自宅の門の前で二人を見送った。

蘭「じゃあ博士、Aと新一が帰ったら連絡するように言っといて。梨沙も心配してたから」

阿笠「おお、わかった!」

阿笠博士が返事をすると、蘭に手を引かれたAとAと手を繋ぐ新一は手を振った。

愛梨,コナン「じゃあねー、オジちゃん!バイバーイ!!」

阿笠「またな〜、コ…コナン君に愛梨君」

手を振り返した阿笠博士は並んで歩いていく三人の後ろ姿を見て、フゥー…と深く息を吐いた。

(あとはうまくやるんじゃぞ、新───いや、江戸川コナン君に黒瀬愛梨君……)





いつの間にか雨は止み、雲が切れた夜空には三日月がぼんやりと輝いていた。

蘭「ねぇ、コナン君、愛梨ちゃん、……愛梨ちゃん?コナン君?」

蘭に手を引かれて住宅街を歩いていた新一とA───コナンと愛梨は、聞きなれない名前で何度も呼ばれて「え?」と顔を上げた。

コナン「あ、なぁに?蘭…姉ちゃん」
愛梨「なぁに?蘭姉ちゃん」

(慣れない/ねぇな、この名前……)

自分で付けた名前とはいえ、慣れるには時間がかかりそうだ。
蘭は歩きながら手に持った傘の水滴を払うように振っていたが、ピタリと止まった。

蘭「二人は好きな子、いる?」

愛梨,コナン「……え?」

蘭「ほら、気になる子とかいるでしょ?学校に。あ、それとももしかして二人とも…」

コナン「え、えっと…」

顔を赤くしながらうつむく二人に、蘭は「やっぱり!」と笑みを浮かべた。
出し抜けに小学生に何を訊いてるのよ───と焦っていると、

「わたしもいるよ!すっごく気になるヤツ」

蘭がニッコリ笑って言った。

コナン「へー……それ、ひょっとして、さっき捜してたAって姉ちゃんのことじゃないの?」

愛梨「へ?」

コナンがからかうように言うと、まさか名前を出されるとは思ってなかった愛梨がすっとんきょうな声を上げる。
空を見上げていた蘭が振り返って愛梨と目が合った。
いつもと違う角度から見る蘭は何だか大人びて見える。

蘭「んー……そうよ」

かわいらしく首を傾げた蘭は、頬をほんのりと赤く染めながら答えた。

愛梨「!!」

蘭「ちっちゃい頃から無茶ばっかりで、いつも人に心配かけて、推理オタクでバスケ馬鹿だけど……いざというときは頼りになって、強くて、勇気があって、可愛くて、カッコよくて……」

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作者名:さきっち | 作成日時:2022年3月21日 16時

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