48話 ページ1
阿笠「それで、君とA君の口をふさぐために毒薬を……」
タオルを肩に掛けた阿笠博士は、うーむ…とアゴに手を当てて考え込んだ。
そして段ボール箱をあさる新一をハッと見る。
阿笠「そうか……未完成だったその薬の不思議な作用で、体が小さくなってしまったというわけか」
新一「そういうこと!」
新一は段ボール箱からキッズサイズのシャツや半ズボン、青いジャケットを引っ張り出し、それらを身に着けた。
新一「なぁ、頼むよ博士!天才だろ?オレたちの体を元に戻す薬を作ってくれよ!」
新一に言われた阿笠博士は「うー……」と頭をかいた。
阿笠「無茶を言うな!その薬の成分がわからんことには……」
赤い蝶ネクタイをして青いジャケットに袖を通した新一は、クローゼットの中にある鏡を見た。
鏡に映っているのは、やっぱり小さくなってしまった自分だ。
(ダッセー、ガキの頃の服がピッタリだぜ……)
服を着替えた新一は阿笠博士と一緒に書斎に移動した。
新一「じゃあ、ヤツらの居場所を突き止めて、あの薬を手に入れればいいんだな!」
阿笠「ああ……その薬があれば、何とかなるかもしれんが……」
A「え、何とかなるの!?」
聞こえてきた声に新一と阿笠博士が顔を向けると、書斎の入り口に有希子の部屋にあるはずの小さい頃の服を取りに行っていたAの姿があった。
白い生地のパーカーに赤チャック柄のワイシャツを腰巻きして、スカートと普段はかぶらないグレーのキャスケットをしていた。
モデル顔負けの着こなしである。
阿笠「おぉ、A君。服があったのか?」
A「何故か有希子さんの部屋にね。一着は持ってると思ったんだよねぇ」
お母さんがあげてるの見たし。
歩いてきたAが視線を感じて顔を向けると、顔を赤く染めた新一が此方を見ていた。
何?という風に首を傾げると、新一は我に返ったようにあわあわと慌てる。
A「な、なによ、新一……。どこか変?」
新一「へ?…いや、全然!か、可愛いと思う……」
小さい頃の服を着たAはそこらの子役より可愛いと思う新一は正直にその思いを口にした。
ストレートに告げられた言葉にAは照れくさそうに笑顔を浮かべると、はにかむように笑って「ありがとう」と告げる。
すると阿笠博士が突然、お互い照れて顔を赤くしている二人の肩をつかんだ。
阿笠「新一!A君!小さくなったことはワシ以外には言ってはならんぞ!」
新一「え?何で……」
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作者名:さきっち | 作成日時:2022年3月21日 16時