【ルフィ】麦わらの歌姫-６- 【ONE PIECE】【映画沿い】 (ページ9)

今日:9 hit、昨日:7 hit、合計:111,881 hit

-2- ページ9

テゾーロ「───おまえたちは、よく、がんばった。よく、もりあげてくれた。ごほうびに、すばらしいショーを見せてやろう。」

テゾーロが指を鳴らす。スクリーンに映像が映し出された。
船内───機関室のような……。
仲間たちは息をのんだ。そこに映っていたのは、

『ルフィ……!』

***

ポンプ室で作業を終えると、フランキーは、あらためてバルブを開栓した。

フランキー「やるぞ……!」

ゆるんだ配管の継ぎ目から水圧で海水が噴きだしはじめた。船には隔壁があり、この区画が浸水しても、すぐに沈没するようなことはない。

ザババババッ……!

噴水のように噴きあがった水を、その場にいた全員が気持ちよく浴びた。
すると……黄金に変えられたルフィの両腕が、みるみる、もとにもどっていく。

カナ「やった!成功だね!」

フランキー「体についた金粉が落ちていくぜ!」

ルフィ「これでテゾーロを、ぶっ飛ばせる!」

カナもフランキーもルフィも、囚人たちも、やった、これで自由だと、よろこびの声をあげた。

ガコンッ

ふいに、なにかの装置が作動した。
ポンプ室の天井、換気塔につながる穴が隔壁でふさがれた。さらに壁にひらいた穴から大量の海水が流れこみはじめた。

フランキー「ハメられた……？くっ!」

フランキーがうなる。たちまち腰まで海水に浸かってしまった。

ルフィ「あっ、やべェ……おれ、海ダメだ…………」

カナ「くっ……!ルフィ!しっかりしなさい!」

チカラが抜けてしまった『ゴムゴムの実』の能力者を、カナとマックスが支える。
ルフィたちは絶体絶命のピンチにおちいった。

***

天空劇場にテゾーロの高らかな笑い声が響く。

テゾーロ「───希望が、絶望に変わる瞬間……!これこそ究極のエンターテインメント!カネはチカラ!カネがすべて!カネのないやつは、なにも手に入れられない!夢も、愛も、強さも、自由も……希望も!」

テゾーロは人生を歌うように。
その姿は、言葉は、映像電伝虫によって街の至るところで放送された。

夢を追い、夢を見うしない、足腰を痛めながら安い賃金で踊りつづけるダンサー。
チャンスをつかみに来た客(カモ)に愛想笑い、すべてを奪うディーラー。
死ぬまで働いてもかえせない親の借金を背負わされた、子どもたち。
誇りをうしなった、あわれな退役軍人。

夢も、愛も、強さも。

カネで買えるとはかぎらないだろう。だが、カネで奪うことは確実にできる。

自由を奪う。