【ルフィ】麦わらの歌姫-６- 【ONE PIECE】【映画沿い】 (ページ11)

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ありきたりな刺激では満足できなくなった観衆たちは、命を玩具にする娯楽に歓喜する。
巨人の腕が、巨斧をふりあげる。

テゾーロ「“ゴールド・スプラッシュ”!」

テゾーロが指を掲げる。
ステージ上空───劇場の、さらに数千メートル高くのびた黄金の塔の突端部から、光の粒が噴きあがった。
ルーレット盤を模した船尾楼からも。
巨大船〈グラン・テゾーロ号〉は金粉の噴水で、盛大に彩られていった。

クライマックス───

テゾーロ「さらばだ〈麦わらの一味〉……!わたしの勝ちだ(イッツ・ア・エンターテインメント)!」

この街で、おもしろいことは。
ギルド・テゾーロが勝つこと。なにもかも、思いのままに。

巨人の腕が、ついに斧の刃をゾロの首根っこにふりおとした。

ガキキッッッ……!

軋む。

ガクッ、ガクッと天空劇場───黄金の塔全体が鳴動しだした。
金粉の飛沫(スプラッシュ)も急に勢いがなくなり、一斉にとまってしまった。

どういうことだ？
なにが起きている？

これが演出でないことを知っていたタナカさん、ダイス、バカラは戸惑った。

テゾーロ「なぜ……とまった。」

テゾーロは吐き捨てた。トラブルだ。しかも深刻な───巨斧をふりおろした巨人の腕が、ゾロの首を落とす寸前でとまっていた。

彼の能力が(・・・・・)、及ばなくなった(・・・・・・・)。

───フフ……。

嗤ったのは、二つの女の声だった。

テゾーロ「ッ! なにがおかしい!」

テゾーロは声を荒らげた。

ナミとAだ。黄金の蛇に捕らえられた彼女たちは、しかし───勝利の笑みを浮かべていた。

ナミ「『騙されたのはどっちかしら。』」

テゾーロ「なにっ……？ッ!?」

テゾーロたちは、ふたたび背後をふりあおぐ。
塔の突端が、ふるえる。その内部を、すさまじいエネルギーの濁流が噴きあがっていく。

ゴォオオオオオオオオオオオオッ!
バキッ!
バババババッ───

塔の突端部を破壊しながら、大量の水が、雲を吹き飛ばす勢いで噴出した。
天空劇場は、たちまち土砂降りのようなさまになった。

「しょっぱ……？これは海水!きゃーっ!」

べちゃん!

まともに水の塊を浴びたタナカさんは足を滑らせて転んだ。
巨大な水滴が、砲弾と変わらぬ威力でステージも客席も、無差別に破壊していく。

ダイス「気持(キモテ)ィ!テゾーロ様、失礼します!」

緊急時だ。ダイスがテゾーロを抱きかかえて庇う。『ラキラキの実』のラッキーガールは立ったままだ。