12話 ページ12
コナンと愛梨がアッと思った瞬間、子どもたちのそばにいた女が手すりを飛び越えた。
手すりの下の壁にしがみついていた元太の手をつかむ。
元太「姉ちゃん、助けて〜」
女はすばやく周囲を見回し、再び元太を見た。
哀「愛梨!江戸川君!」
コナン「ああ!」
愛梨「わかってる!」
コナンはベルトのバックルに手をかけた。
いつでもサッカーボールを出せるように射出ボタンに指を添える。
愛梨は髪の毛をポニーテールに結んだ。
コナンが射出ボタンを押したらすぐに動けるように。
元太「もっ……もうダメだぁ……」
壁をつかんでいた元太の左手が離れた。
すると───女はつかんでいた元太の右手を離した。
元太「うわぁーーーー!!」
元太が落下すると同時に、女はつかまっていたガラスの壁から手を離して飛び下りた。
すぐさま壁を蹴り上げて大きくジャンプし、観覧車を支える巨大な鉄柱に向かって飛ぶ。
鉄柱に着地した女は、その湾曲した面を一気に滑り落りた。
そして再び大きくジャンプして落下する元太を空中でキャッチすると、元太を抱きかかえてスカート状に傾斜した壁を回転しながら下りてきた。
コナン「大丈夫か!?元太!!」
愛梨「元太!」
コナンと愛梨と灰原が駆け寄ると、女は気を失っている元太の肩をつかんで叫んだ。
「元太君!大丈夫!?しっかりして!!」
その切迫した顔を見たとたん───灰原の心臓がドックンと大きく波打った。
女から感じる、ゾクリとした独特な感覚。
昔の記憶を呼び起こすこの感覚は、まさか───。
女が必死に声をかけると、やがて元太が目を覚ました。
元太「あれ?どうして姉ちゃんが……」
「よかった。無事で……!」
女はホッとした表情で、元太の頬に手をやる。
その表情を見ていると、灰原の激しい鼓動が、徐々に静まっていった。
元太「あ、そっか。オレ、上から落っこちたんだ!」
元太がようやく状況を理解すると、係員たちが駆け付けてきた。
「大丈夫ですか!?おケガはありませんか!?」
元太「姉ちゃんが助けてくれたから大丈夫だぞ!」
よかった、と係員が胸をなで下ろす。
「念のため、医務室の方へお出でください」
元太「え〜、オレいいよ。痛くねーし……」
元太が断ろうとすると、灰原は「ダメよ!!」と間髪を容れずに言った。
愛梨「ちゃんと診てもらった方がいいよ?」
コナン「そうだぞ。今は平気でも後で痛くなったら大変だろ?」
愛梨とコナンに言われて、元太が「は〜い……」と仕方なさそうにうなずいた。
190人がお気に入り
「名探偵コナン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わー(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます!頑張って下さい☆ (2016年6月15日 20時) (レス) id: e537cda21d (このIDを非表示/違反報告)
水羽(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年6月1日 16時) (レス) id: cf1f663820 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - めっちゃおもしろーい!!最新まってます。 (2016年5月23日 20時) (レス) id: 979ecbcb37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆなゆな(プロフ) - とっても面白いですく更新頑張ってください! (2016年5月14日 21時) (レス) id: 9e60c586da (このIDを非表示/違反報告)
わー(プロフ) - 更新お願いします(≧ω≦) (2016年5月1日 19時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2016年4月19日 21時