ひとりじゃない証-No.4- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

18話 ページ41

一「Aが攫われたのはAに征丸さんの首を見せ、彼の死を確認させるためだったんだ」


剣持「最初の死体が征丸君だとしたらおかしいじゃないか金田一君。あの死体は紫乃さんの子供じゃないっていう血液鑑定が」


『そもそも征丸さんが紫乃さんの息子だという思い込みが違うんだよ』



あたしたちから逃げるように歩き回っていた紫乃さんの動きがあたしのこの言葉で止まった。



龍之介「征丸が、紫乃さんの子供じゃない…？」


『そうじゃないですか？紫乃さん』


紫乃「でたらめ言わないで。征丸は私がお腹を痛めて産んだ子供です!」



あたしに詰め寄るように来る紫乃さんから庇うようにあたしの前に立ったはじめちゃんが、彼女の言葉にかぶせ気味に「紫乃さん」と口を開いた。



一「龍之介さんが猟銃で征丸さんを脅したことがありましたよね。あの時紫乃さんはものすごい剣幕で龍之介さんを叱った」



あたしたちが初めてここに来た日。
確かに紫乃さんはすごい剣幕で叱っていた。



剣持「それがどうした金田一。征丸さんが撃たれそうになったから」



警部が慌てて庇うような言葉を言うのにかぶせるようにあたしは『紫乃さん!』とはじめちゃんの後ろから彼女を真っ直ぐ見つめた。



『あの猟銃に鉛が詰まっていたのを知っていたのは亡くなった蔵之介とあなただけだ!あの引き金を引いたら死んでいたのは、龍之介さん。あなたの方だったんだ!』


龍之介「紫乃さん…あんた……」



龍之介が恐る恐る紫乃さんを見るが、紫乃さんは真っ直ぐにあたしとはじめちゃんを見ている。



一「紫乃さんの本当の理由は征丸さんを殺し、龍之介さんに遺産を相続させることだったんだ!」


剣持「金田一君、鈴蘭さん。それじゃあ…紫乃さんの…」


『そう。紫乃さんの本当の子供は龍之介さん、あなただったんだ!』



泳ぐ龍之介の目に、紫乃さんは顔を覆って泣き崩れた。



龍之介「紫乃さんが……俺の母親…」


剣持「紫乃さん…どうして…どうしてこんなことに…」



呟くような龍之介と警部の言葉に、紫乃さんは震える声で言葉を紡いだ。



紫乃「あの女さえ……あの女さえいなければ……」



紫乃さんのお母さんは亡くなった父の借金を返すため、働いて働いて病に倒れた。
紫乃さんが15歳の時らしい。
紫乃さんは働きながらも必死に勉強して、やっとの思いで県立高校に入った。
だけどそこで出会ったのはあの女───綾子さんだったという。

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