ひとりじゃない証-No.3- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

20話 ページ36

碧「金田一さん、鈴蘭さん、大変!」



考え込んでいた時に聞こえた碧さんの声にあたしとはじめちゃんは急いで彼女に駆け寄った。



一「どうしたんですか？」


碧「キッチンに…こんなものが」



恐る恐る出されたのは頭から血を流し少し焼かれたような跡が残る日本人形で。
あたしたちはすぐに隣の棚へと視線を向けた。
そこにはもう一つ空白が出来て、新しく人形がなくなったのがわかる。



一「人形がまた1つ消えている…」


『いつの間に…』



翌朝。
朝早く呼ばれて急いで着替えて雨の降る中はじめちゃんの傘に入れてもらいコテージへと向かうと、2つのコテージが焼かれていた。



美雪「八十島さんのコテージと柿本さんのコテージが…」


一「火元はいったいどっちなんだ？」


岩田「多分…八十島様のコテージです」



岩田さんが八十島さんのコテージへと視線を向けて、あたしたちも柿本さんのコテージから視線を向ける。



岩田「私が駆けつけた時、柿本様のコテージにはまだ火が残ってました」



その時、クリス君が一人引き返していく。
それを目で追ってから、はじめちゃんは傘をあたしに渡すと、雨が降る中八十島さんのコテージに近づいた。
そしてすぐにあたしたちを振り返る。



一「A、矢萩さん!」



あたしと矢萩さんはすぐに駆け寄った。
傘の中にはじめちゃんを入れて視線の先を見ると、焼けて崩れ落ちている木材の下敷きになっている焼け焦げた上半身と下半身の死体があった。
焦げすぎて誰なのか判断はつかないがおそらく…。
はじめちゃんがしゃがみ込む。



岩田「八十島様……」


矢萩「誰がこんなことを!!」



矢萩さんは傘を投げ捨てた。
しゃがみ込んで見ていたはじめちゃんが口を開く。



一「どうやら犯人は…八十島さんを殺した後に火を放ったようですね」



すると何かを見つけた矢萩さんがそれを持ち上げて「見ろ」と口を開く。
あたしとはじめちゃんは彼の方へと視線を向けた。



矢萩「犯人に襲われた時に壊れたんだ」



持っていたのは八十島さんの時計で。
あたしとはじめちゃんと矢萩さんはそれを見ながら体を起こす。



矢萩「つまり、八十島が殺されたのは昨夜の11時20分ってことになる」


岩田「それにしても…」



矢萩さんと顔を見合わせていたあたしたちは岩田さんの声に振り返った。



岩田「わざわざコテージに火を放つだなんて…!」

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