ひとりじゃない証-No.3- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

18話 ページ34

はじめちゃんがあたしに手渡してくれて、あたしも碧さんの隣に椅子を引きながらそれを見る。
はじめちゃんもあたしの横からそれを覗き込んだ。



碧「この真ん中でヒゲを生やしているのが父。そしてその隣の方が10年前に亡くなられた佐伯おじ様です」


一「『佐伯？』」


碧「大学教授だった方ですけど…この島で事故にあわれて」



あたしとはじめちゃんは顔を上げた。
脳裏に浮かぶのはあの時の岩田さんの言葉。




───岩田「これで、この島で亡くなったのは佐伯様に続いて2人目ですね…」




岩田さんのあの言葉…。



『この髪の茶色い子は？』


碧「佐伯おじ様の息子さんです。確か…名前は航一郎君って言ったかしら」


一「佐伯教授の息子…」


碧「ええ。お母さまがアメリカの舞台女優でとっても綺麗な方だったって聞いてますけど」


『つまりハーフ？』


碧「ええ。おじ様に似てとても頭のいい子だったそうです」


一「後の人は？」


碧「さあ…お父様のお友達でしょうけど…」



そう言って写真を見た碧さんは「でもこの人」と写真の中の人を指差した。



碧「殺された柿本さんに似てるみたい」



あたしとはじめちゃんも見る。



『間違いない。これ、柿本だよ!』


碧「え？」


一「そして後の2人…八十島と矢萩だ」


碧「一体どういう事？」



あたしとはじめちゃんは碧さんの質問に答えることはなく、顔を見合わせた。

それからあたしとはじめちゃんは矢萩さんのコテージへと向かう。
ソファで煙草を吸う矢萩さんの前にあたしとはじめちゃんは隣同士に腰掛けると、持っていた写真立てをはじめちゃんがコトンッとテーブルに置いた。



一「矢萩さん。あなたと八十島さん、そして殺された柿本さんは…以前、この島に来たことがあるそうですね」



矢萩さんはライターの蓋を閉めたり閉じたりする。



一「そのことについてお話を」



あたしたちが真っ直ぐと矢萩さんを見ると、彼はテーブルの上に乗せていた足をどかして、お酒を手に取ると窓際に歩き出した。



矢萩「話なんかねえよ」


『あなたの仲間だった人間がすでに2人も殺されてるんです。次に狙われるのはあなたかもしれない…』


一「それとも10年前……何か隠さなきゃならない事件でもあったんですか」



矢萩さんを追うようにあたしとはじめちゃんもソファから立ち上がると、矢萩さんは窓際で煙草を吸って煙を吐いた。
一度こちらに視線を向けて酒を飲む。

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