ひとりじゃない証-No.3- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

17話 ページ33

はじめちゃんもそっぽ向いてないで何か言ってよ!


首裏に手を当てながら視線を逸らしていると、碧さんはあたしとはじめちゃんを見ながら口を開いた。



碧「2人が信頼し合ってるの見ててわかります」



その言葉に顔を上げた。



碧「金田一さんと鈴蘭さんが2人でいるときは楽しそうにしているし。美雪さんだって鈴蘭さんといる時は随分安心してるみたいだし」



そう…なのかな？


はじめちゃんと顔を見合わせて、あたしはフッと笑うと立ち上がって救急箱を棚に戻した。


はじめちゃんといると楽しそう…か。
あながち間違ってないかも。



碧「幼なじみか…」



ぽつりと呟くような言葉にあたしとはじめちゃんは碧さんを振り返った。



碧「私にもそういう人がいたら…こんな寂しい思いはしなくてすんだのかも」


一「『碧さん……』」


碧「今だから告白するけど、財宝発掘に取りつかれた父はね、10年前、私を東京に一人残してこの島に籠るようになったの。私には生活費を送金するだけで手紙一つくれない、冷たい父親だったわ」



何と言っていいのか分からなくて思わず視線を落とすと、隣に来たはじめちゃんがあたしの頭を撫でてくれた。
あたしの場合は、両親も傍にいて、いつも楽しくさせてもらってる。
確かにお母さんが会社の事で遅くなる時もあるけどそれでもお父さんは必ず家にいてくれるし、逆にお父さんが本の事で海外に行ってる時は夕飯が一人にならないように必ずお母さんが会社から帰ってきてくれる。
美雪やはじめちゃんだってそばにいるし。



碧「……自分を捨てた父をずっと恨みながら生きてきたんですよね」



寂しそうな碧さんを見てあたしとはじめちゃんは顔を見合わせると、微笑を浮かべながら彼女に近寄った。



一「あのさ、俺やAや美雪でよかったらいつでも相談してくださいよ。こうやって知り合えたのも何かの縁でしょ」


『あたしたちきっといい友達になれますよ!ね？』


碧「…ありがとう、金田一さん、鈴蘭さん」



素直に真正面からお礼を言われると照れくさくてあたしは笑みを浮かべながら視線を少しずらした。
はじめちゃんも照れくさそうにしながら首裏に手を当てて視線を逸らすと、その先に見えたもの駆けに寄って写真立てを持ち上げた。



一「この写真は？」


碧「父の寝室に落ちてたんです。父が昔、初めてこの島に来た時に撮った記念写真です」


一「へぇ」

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