ひとりじゃない証-No.3- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

10話 ページ26

はじめちゃんが駆け上がっていくので、あたしも美雪の手を引いて駆け上がった。
あったのは白い鳥居で。



クリス「今度は大理石だ」



先程より小さいかなあ。


その時、後ろを振り返っていた美雪が繋いでいたあたしの手を引っ張った。



美雪「さーちゃん、はじめちゃん!」


一「『ん？』」


美雪「あれ見て」



指をさされた先を見ると、居間にあったのと同じ両耳を押さえた獣の銅像が、鳥居の方を向いて立っていた。
近づいてみる。



美雪「あの広間の化け物の像に似てない？」


一「ああ…」


『でも、これは一体…』



下から見ようと腰をかがめた瞬間、



「それは山童だよ」



聞こえてきた声に顔を向けると、矢萩さんがいた。



矢萩「半分が猿で半分が人間の怪物のことだ。そいつはこの島の財宝を守る、伝説の半獣人なんだよ」



そう言いながら此方に来た矢萩さん。
あたしたちは山童を振り返った。



一「『半獣人…』」


矢萩「…その昔、この島の財宝伝説を聞きつけた多くの男たちが宝を求めてこの島にやってきた。だが、宝に近づく者は皆…この山童に殺され体を真っ二つにされるという言い伝えがこの島にはあるんだ…」


一「じゃあ、美作さんの遺体があんな状態にされていたのも…」


矢萩「山童の伝説になぞらえてのことかもしれないね」



煙草を吸いながらそう言う矢萩さんの言葉に、あたしとはじめちゃんは考えるように目を伏せた。



矢萩「うっかり宝に近づくと…美作の二の舞になるかもしれない。君達も気を付けた方がいいね」



矢萩さんはあたしたちを見回しながら忠告した。
あたしたちみんなが矢萩さんを見る。

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