ひとりじゃない証-No.3- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

12話 ページ28

美雪「さーちゃん!はじめちゃん!」



入ってこようとする美雪たちをすぐに『入るな!』と止める。



『2人とも入っちゃダメだよ』



念を押すように強くそう言うと美雪と碧さんはコクコクと頷いた。
あたしの肩を抱き寄せながらはじめちゃんが一歩前に出て部屋の中を見回す。
そして視線を下へと向けるとそこには部屋が血で染まり、目を開けた状態で上半身と下半身に分けられている柿本さんの死体があった。
血が天井までついていて、そこから滴り落ちる血が灰皿に溜まってポチャンッと音を立てる。
はじめちゃんはあたしから離れてテーブルの上にあったメモ帳を見ると、すぐにあたしを呼んだ。



一「A」


『…っなに？』



死体を避けるようになるべく見ないではじめちゃんに駆け寄るとメモ帳を指差された。
見ると、屏風に書かれていた言葉がまるまるメモ帳に写されていて、朱の鳥という所に赤い鉛筆で丸が書かれていた。



『朱の鳥……？』



夕日が海に沈む頃。
柿本さんの部屋から母屋へと戻り、みんなで矢萩さんの報告を聞く。
ソファには八十島さん、美雪、碧さんが座り、あたしは美雪と碧さんの後ろに立ち、そのまた後ろにはじめちゃんがノートを持って立って、岩田さんと矢萩さんも立っていた。



矢萩「死体と出血の状況から見て……柿本はあのコテージで殺されたと考えるのが妥当だ。致命傷は…喉の頸動脈。……つまり犯人は、柿本の背後から迫り、ナイフのようなもので」



矢萩さんはあたしの後ろを通って、ソファに座る八十島さんの背後へと行くと、後ろからぐっと八十島さんの顎を掴んで持っていたメガネをナイフに見立てて喉の頸動脈を掻き切る真似をした。
急にされた八十島さんが「ぐわっ苦しい!」と声をあげると、その様子を想像した美雪が腕を擦り、碧さんが口許を両手で覆う。
あたしは腕を組んで口許に指を当てて視線を下げた。



八十島「バカ…何するんだ」



顎の部分を擦りながら八十島さんは立ち上がった。



矢萩「しかし犯人はそれから数時間後、死体を切り刻んでいるんだ」


八十島「数時間後？」



矢萩さんの言葉にあたしとはじめちゃんは顔を上げて矢萩さんを見た。
クリス君は離れた所で一人、箱を傾かせて何かを食べている。



矢萩「切断された胴体からの失血は意外に少ない。つまり遺体は…血液の凝固がかなり進んだ状態で切断されているんだ」



はじめちゃんはあたしの後ろを通ると、岩田さんの前を通って矢萩さんの後ろに向かった。

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