第11話 「あなぐらの中(後編)」 ページ6
-Aside-
鎌本が八田ちゃんと連絡が取れなくなったとバーに戻ってきたのが数時間前。
それを聞いた私と華奈と出雲と多々良が何回も順番に八田ちゃんのタンマツに電話をかけているんだけど、出る様子はなくて。
他の皆も八田ちゃんを探しているのだが見つかる気配は全くない。
さすがに遅すぎだ。何かあったのではないかと様子を見に行こうかと出雲と鎌本と多々良と華奈が立ち上がった時、呼びかけコールから通話中に切り替わったタンマツを見て私は急いでそれを耳に当てた。
八田【……もしもし】
『あっ、やっと出た』
私のその言葉に出て行こうとしていた出雲たちが急いで駆け寄って来て、心配そうな顔で私を見る。
私はそれを視界の端に捉えながら八田ちゃんの声へと耳を傾けた。
『八田ちゃん、今どこ!?大丈夫!?』
八田【平気っす。モグラは倒しました】
え、いつの間に…。
私が此方を見る華奈たちに指で丸を作りながら頷いて八田ちゃんの無事を知らせると、4人は安堵の息を吐いた。
『鎌本が八田ちゃんが向かってたはずの“モグラ”のアジト候補が爆破されたって知らせてきて…みんな一晩中八田ちゃんのこと探してたんだよ』
八田【……そっすか】
タンマツ越しに八田ちゃんがふっと笑ったのがわかった。
だけど私は八田ちゃんのその笑いと声のトーンに何処か違和感を感じて眉を寄せる。
そして青服が動いているという他のメンバーからの報告を思い出して、あぁ、会ったのか…と思いながら私は微笑を浮かべた。
『…何か、あった？』
八田【何も……ないっす】
私の言葉に泣きそうになって帽子で目を隠した八田ちゃんを私達は知らない。
だからバーに戻ってきて『おかえり』と微笑んだ私を見て八田ちゃんが泣きそうに顔を歪めさせた理由も、私には解らないままだ。
だけどきっとそれは……“彼”が関係しているのではないかと…私は思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シルフィ(プロフ) - かなとさん» ちょっと言い過ぎなんじゃないですか？誰だって見落としたりすることはあるんですから違反報告なんてやりすぎです。あなたのその言葉で不快になってる人もいることわかってください。文句しか言わないなら見なければいいじゃないですか (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 6da2673d24 (このIDを非表示/違反報告)
シルフィ(プロフ) - この作品大好きです！！これからも更新頑張ってください！応援してます！さきっちさんの作品全部大好きです！ (2019年8月23日 1時) (レス) id: 6da2673d24 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - かなとさん» すいません、此方も色々と忙しい身で更新をしているので見落としてしまう部分もあります。そのつど報告をしてくれるのは大変嬉しいのですが…言葉遣いに気をつけてくださると嬉しいですね。見落としてしまったのはこちらの落ち度なので申し訳ありません (2019年8月23日 1時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - ルールを守る気も、でしたね。すみません。でもいい加減にして下さい (2019年8月23日 0時) (レス) id: b1d25bd6f7 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - ルールを作る気がないようなんで違反報告します。連続だと仕方ないですよね (2019年8月23日 0時) (レス) id: b1d25bd6f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2019年8月23日 0時
