第204話 ページ9
突然のカミングアウトにユンが声をあげる。
「たくさん捕まえたなら皆に分けてよねっ」
「「悪ィ悪ィ」」
「ったくもー」
まったくもって、謝っている気がしないハクとカナにユンはん?と首を傾げた。
この辺に川なんてなかったはずだ。
すると薪をたくさん抱えたキジャが近くを通った。
「あ、キジャ。ご飯だよ」
「私もハクとカナと共に魚を馳走になり腹一杯だ」
「鳴ってるよ、思いっきり鳴ってるよ」
ぐ〜〜〜うぐるるるるとお腹を鳴らしながらそんな事を言うキジャに突っ込むユン。
「こここここれは私の腹の音ではなくてだな、どこかで雷が…」
「てめェの音だろ白蛇」
顔を真っ赤にして言い訳をするキジャの頭にハクが屋根の上からロープをべしっと投げつけた。
キジャを見下ろすハクの後ろではキジャの分かりやすい言い訳とお腹の音に我慢ならなかったカナとジェハが笑いをこらえながら肩を震わせている。
「無礼者、何をする」
「「ぶくくくくく」」
「修行が足りねーんだよ、腹の虫を止める修行が」
「「くくくくくく」」
「腹の虫を止める修行だと…!?」
キジャとハクの会話に度々入る笑いはカナとジェハである。
今だにお腹が鳴っているキジャの元にゼノがかけつけた。
「へその辺りにぐっと力を込めると良いから」
「こうか?」
それを実戦したその時、2人のお腹からぐうううううと音が鳴った。
どうやら止まる様子はないらしい。
「鳴るではないかっ。というかそなたも鳴っているではないかっ」
「あはっははははははは、かわいい君達かわいい」
「やっば、もう無理押さえられない!!」
「ジェハ、カナ、笑い過ぎだ!」
どたばたと騒がしい彼らにユンが「もーバカばっかり」と呆れたようにため息を吐いて後ろにいるA達を振り返った。
「Aとヨナは食べるよね」
「私はいいわ」
『あ、私もお腹一杯…』
その時ぐうううとお腹が鳴る音が聞こえた。
一瞬固まった3人だが、すぐにAが恥ずかしそうに顔を赤らめてお腹を抑える。
『…聞こえた?2人とも』
「「うん、聞こえちゃった」」
頷くユンとヨナ。
それからすぐに3人は吹き出して笑いだした。
―――イクス。
あんたが予言した高華国を揺るがす連中ってのはバカばっかりだよ。
でもお腹がすいても笑ってるバカだから、もっとデカイ困った事にも笑ってどうにかしちゃいそうだよね―――
「失礼、少々お邪魔しますよ」
その声にユンは振り返ると、目を見開いた。
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石川聡子(プロフ) - 続きは書きませんか? (2021年6月21日 15時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 続きが気になります!! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 6f987f8235 (このIDを非表示/違反報告)
あーむ(プロフ) - ここの暁のヨナが大好きなのでお忙しいとは思いますが更新頑張ってほしいです(>_<) (2019年11月19日 9時) (レス) id: 10f360c237 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 1話から見ましたがすごく楽しくてもう一日かけて読みました!!!!!!たのしすぎて早く続きが読みたいです!!これからも応援してます!頑張って下さいっ* (2019年7月28日 0時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 17時