第202話 「悪目立ち」 ページ7
外からユンとイクスの声が聞こえてきて、Aは目を覚ました。
体を起こして耳を澄ませると、ユンが何処かに出掛けるようだ。
「姫さん、どうしました?」
「姉様?」
声が聞こえた方に振り返ると、ハクとカナとヨナが起きて此方を見ていた。
『ユンが出かけるみたい』
Aのその言葉に、カナとハクは寝ている四龍たちを起こし始めた。
そしてイクスに場所を聞き、向かった先は火の部族 加淡村。
おじいさんらしい人と話すユンの姿を見つけてAたちは背後から近寄る。
するとおじいさんは此方に気づいたらしく、視線をAたちに向けた。
「ところで、後ろの奴らは友達か?」
「え」
ユンが振り返ると、そこには笑顔でユンを見るAとヨナを先頭にみんなが勢ぞろいしていた。
カナとハクは自身の武器を持ちながらあふ…と眠そうに欠伸を溢している。
「なんでいるの!?」
「姉様がユンがこっそり出て行くのを見て気になったらしくて」
「私はお二方のお供を」
「ゼノは青龍のモフモフについて来たのね」
声を上げるユンに、朝の寒い空気に震えながら手にはぁ…と息を吐いているAの隣でヨナ、キジャ、ゼノが言葉を発する。
ゼノはシンアの毛皮の中に入ってニコニコ顔である。
「帰って!」
「ユン君、お腹がすきました」
「ユン君、今朝はシソ粥にしてくれないかい」
「ユン君、お腹ぺこぺこなんだけど」
「即帰れごくつぶし」
ぐーとお腹を鳴らしながら言うハクとその隣で飄々と言うジェハ、そしてお腹をさすりながら言うカナの3人にユンは顔を引き攣らせながらそう言った。
しゃがみ込むシンアのモフモフの毛皮の中にゼノとハクが入り、外側にカナとジェハとキジャが身を寄せて、ほくほくと顔を緩ませる。
「ホントだ、あったかい」
「ねー」
「これいいわね」
「聞いてるの!?珍獣共っ仲良しかっ」
『この村のお手伝いをしてるんでしょ、手伝うわ』
「私も」
「ダメ、目立つんだよ」
もふもふぬくぬくとしているハク達に突っ込み、手伝いを申し出るAとヨナにそう言うユン。
突っ込みに休みはない。
「目立たないよう頑張るから」
「無理だから。もう、生きてるだけで目立つから」
赤い髪と桃色の髪の姫に、元将軍と元国王専属護衛、そして珍獣。
どう考えても目立つ組み合わせである。
「ここは病人もいるし、治安も悪い。お姫様の来るような所じゃないんだ」
俯きながらそう言ったユンに、Aは村を一瞥して顔を向けた。
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石川聡子(プロフ) - 続きは書きませんか? (2021年6月21日 15時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 続きが気になります!! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 6f987f8235 (このIDを非表示/違反報告)
あーむ(プロフ) - ここの暁のヨナが大好きなのでお忙しいとは思いますが更新頑張ってほしいです(>_<) (2019年11月19日 9時) (レス) id: 10f360c237 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 1話から見ましたがすごく楽しくてもう一日かけて読みました!!!!!!たのしすぎて早く続きが読みたいです!!これからも応援してます!頑張って下さいっ* (2019年7月28日 0時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 17時