第208話 ページ13
バッと片手を広げてそう言ったAの後ろで、ハクが「ぶっは!!」と吹き出した。
Aは突然のことに肩を揺らして思わず目を見開くが、すぐに恥ずかしそうに顔を赤らめてハクを睨みつける。
『笑うんじゃないよ、暗黒龍』
「……失礼」
げほげほと咳払いをしながらハクは言った。
毛皮の下の顔はニヤけている事だろう。
カナもそのとき小さく「ぷっ!」と吹き出していたのだが、隣にいたヨナに思い切りバシンッ!と背中を叩かれていた。
布の下のカナの顔もフードの下のヨナの顔もニヤけているのがわかる。
ジェハもニヤける口許を抑えながらAに声をかけた。
「聞いてもいい?何か懐かしいんだけどその口調」
『ギガン船長のマネ』
Aは悪戯っ子のようにニイッと歯を見せて笑った。
「ふざけた連中ですね、とっとと追い出して下さい」
「A…っ」
声を掛けてきたユンにAは口許に笑みを浮かべた。
『ユン、ごめんね。私、高華国の民の為に、闘う覚悟はとっくに出来てるの』
Aのその言葉を聞きながら、ハクとカナは拳を、キジャは巨大化させた右手を、ジェハは暗器を、ヨナは弓を構えた。
皆、その顔に笑みを浮べている。
カナはAの言葉になお笑みを深くしながら体操するかのように右肩をぐるっと回して構えた。
「そういう事なら仕方ないですね、
カナのその言葉が合図だった。
・
・
数分後。
ハク達によってコテンパンにやられた役人たちは皆、地に倒れ込んでいた。
「貴方達……こんな事をして……ただで済むと思ってるんですか!?」
Aはその言葉に振り返って役人を見据えた。
『お前らこそこれに懲りたらもう二度とこの村に近づくんじゃないよ。今度この村に何かあったら私ら…えーと』
「暗黒龍」
「とゆかいな腹へり達ー」
ハクとゼノの言葉の後にぐるるると盛大に腹の音を鳴らす音がAの後ろにいる奴等全員から聞こえた。
思わずAもその名前に固まるが仕方ないとため息を吐きながら続ける。
暗黒龍はまだしも、腹へり達って…。
『…………………がただじゃおかないよっ』
Aは思わずフードの下で目を瞑った。
いやさすがにこの名前は…と頭の中で考えている中、ユンは呆れたように眉間に皺を寄せた。
―――イクス、あんたの予言した連中はこれからどこへ行っちゃうわけ?―――
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←第207話
242人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
石川聡子(プロフ) - 続きは書きませんか? (2021年6月21日 15時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 続きが気になります!! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 6f987f8235 (このIDを非表示/違反報告)
あーむ(プロフ) - ここの暁のヨナが大好きなのでお忙しいとは思いますが更新頑張ってほしいです(>_<) (2019年11月19日 9時) (レス) id: 10f360c237 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 1話から見ましたがすごく楽しくてもう一日かけて読みました!!!!!!たのしすぎて早く続きが読みたいです!!これからも応援してます!頑張って下さいっ* (2019年7月28日 0時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 17時