検索窓
今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:24,656 hit

第206話 ページ11

「それはユンが私達に持ってきたものよ」


見ると、先程シンアと遊んでいた少女だった。
ユンがあ、と思った時には、役人たちは「どけ、邪魔だ」と少女を退かせようとしていた。
必死に少女が抵抗している。


「丁度いいじゃないですか、その子も連れて行きましょう。足りない税はその子を売り払って補いましょう」


何て汚い考えなのだろうか。
「どうかお許しを…!何も知らない子供ゆえ…」と村長が少女を庇うが役人に蹴り飛ばされてた。
少女が役人に手を摑まれながら「お父さんっいやああっはなして」と悲鳴を上げている。


「嫌なら米か金か用意しなさい。行きますよ」


そう言って少女を連れ去ろうとしたその時、一人の役人の肩がザクッと切り裂かれ血があふれ出した。


「ぎゃっ」

「ん?」

「な…何か飛んで…」


倒れ込んだ役人の肩には暗器が刺さっている。
「誰だ!?」と役人が声を張り上げたその時、「はぁーい、僕ですが」と繁みから出たジェハが手を挙げた。
思わずユンが(ジェハーーっ)と突っ込む。


「誰ですか?貴方。この村の人間じゃないですね」

「僕かい?僕は…天翔ける緑の龍とでも呼んでくれたまえ」


何故かカッコつけるジェハに役人たちは危機感を感じたのだろう、「気をつけろっ」「アホだぞ!!」と声を上げている。
ユンはその隙にと繁みからジェハに声をかけた。


「ちょっとジェハ、ダメだって」

「ユン君。物を奪うだけなら黙ってようと思ってたんだけどね、女の子を乱暴するような美しくない連中を、僕が許すと思うかい?」

「………聞かないでよ」


苦虫を潰したような顔でユンがそう言うとジェハは「さすがユン君」と口角を上げた。


「僕は元海賊だからね。何処に行っても役人とは相容れないらしい」


役人に立ち向かいながら背を向けてそう言うジェハ。
その時、Aの隣にいた2人が立ち上がった。


「―――ったく、しょーがねェな」

「ま、気晴らしにいいかな」


勿論、ハクとカナである。


「えっ、ちょっとあんたらはダメだよ、雷獣、カナ。面、割れてんだから…」


振り返ったユンが見た先には、お腹をぐるるるるぐおおおおと鳴らしながら大刀を持ち、アオをつけたモフモフの毛皮を被ったハクと、そこら辺にあった布を頭から被り、槍を片手に持つカナの姿があった。
どちらのお腹からもものすごいお腹の音が聞こえてくる。
思わずユンは2人の姿に顔を引き攣らせた。


「えっ、雷…」


ぐ〜〜きゅるるるとお腹の音が聞こえる。

第207話→←第205話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
242人がお気に入り
設定タグ:暁のヨナ , ハク , ヨナ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

石川聡子(プロフ) - 続きは書きませんか? (2021年6月21日 15時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 続きが気になります!! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 6f987f8235 (このIDを非表示/違反報告)
あーむ(プロフ) - ここの暁のヨナが大好きなのでお忙しいとは思いますが更新頑張ってほしいです(>_<) (2019年11月19日 9時) (レス) id: 10f360c237 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 1話から見ましたがすごく楽しくてもう一日かけて読みました!!!!!!たのしすぎて早く続きが読みたいです!!これからも応援してます!頑張って下さいっ* (2019年7月28日 0時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。