吠舞羅のお姫様 (ページ10)

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第2話　「吠舞羅(後編)」ページ10

-華奈side-

出羽のタンマツに映されている綺麗な女の子。

出羽「この子は翔平の友達。“羅刹”の男に引っかかって抜け出せなくなってるらしい。どうやら翔平は現実的に力を必要としてウチに入ってきたらしいな」

カウンターの椅子に座ってタンマツを覗き込む多々良と華奈の隣で出雲はカウンターに腰掛けながら横目でそれを見ていた。
懐から箱を取り出すとそこからタバコを取り出し、指でトントンとそれを叩く。

出雲「“羅刹”……か。薬とかばら撒いてるって噂のチームやな」

出雲はシュボッとライターでタバコに火をつけた。

華奈「あの子、1人で殴り込みに行く気だろうね」

華奈がタンマツの女の子を見ながらそう言うと隣の出雲がぶはっと吹き出した。

出雲「青春やなあ～」

華奈「ウチの子が力手に入れたからってむやみにそれを振り回すようなアホだったら困るんだけど」

出雲「力にはそれなりに責任ゆうもんがついてくるんや」

多々良「……で、どうしよっか」

多々良が笑顔で華奈と出雲に問い掛けてくる。
それに応えるように華奈が階段の方を見ると、ちょうど尊とAとアンナが下りて来た。
アンナは赤いビー玉を掲げながらAの手を握っている。

華奈「A…尊…」

華奈が名前を呼ぶと、Aは此方に視線を向けた。

『華奈。今すぐにみんなを呼び戻して』

華奈「……りょーかい」

タンマツを取り出して一斉連絡で吠舞羅の皆に呼びかけた後、華奈はニヤリと微笑みを浮かべながら制服のブラウスの袖を肘ぐらいまで折った。
準備は万端だ。