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-Aside-
アンナがお昼寝をして静かになったバーの一階で私と華奈と多々良と尊は過ごしていた。
バーが定休日のため吠舞羅のメンバーは誰一人来ていない。
どしゃぶりだった雨も上がったらしく、明るい光が窓から差し込んでくる。
ソファに座ってテーブルに突っ伏す多々良の隣に腰掛けて煙草を吸う尊。
私は尊の足元に座り込んで尊の足に寄りかかりながらテーブルをはさんだ向かい側にいる華奈とチェスをしていた。
その時、バーのドアが開いた。
出雲「…おう」
尊「ああ」
華奈「やほー」
『ん?』
尊と華奈に続いて出雲の方に顔を向ける。
『どうしたの?』
出雲「うん?」
『定休日でしょ』
出雲「ちょっと王様とお姫様の顔でも見とこうか思て」
笑みを浮かべながらそう言った出雲に華奈はきょとんとし、私は黒いチェス駒を持ちながら固まり、尊も思わず出雲を見つめた。
尊「…どうかしたか。(頭が)」
出雲「どうもせんよ」
なんか、出雲あったのかな?
華奈に「早くAおいてよ!」と急かされたため、ナイトをポンと置いて華奈のクイーンをとる。
「あ!?」と声を上げた華奈を一瞥して出雲に顔を向けると出雲はテーブルに突っ伏して寝ている多々良を見下ろしていた。
出雲「ったく、こいつはこんなとこで寝てしもて」
尊「どこででも寝るな、こいつは」
『尊…尊も人のこと言えないと思うよ』
華奈「あんたもだよ」
『何!?』と華奈に顔を向けながら黒いクイーンを移動させて華奈のナイトをとる。
それに「ああぁぁ」と情けない声をあげる華奈を笑いながら見た出雲は、多々良の隣に置いてあったカメラを持った。
そして私と華奈と尊と多々良に向けた。
カメラには、真剣にチェス盤を見て考え込む華奈とそれをポーンポーンと手のひらで黒い駒を上にあげる動作をしながら笑みを浮かべて見る私、そして煙草を吸いながらチラリと出雲を見上げる尊の姿が録画されていることだろう。
出雲「……6月20日17時30分。思い出を残す…か」
出雲はポツリとそう呟いた。
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時